ライアン・ロリンズがミルウォーキー・バックスと3年約17億円で再契約|急成長中の若手ガードが主力定着へ

ライアン・ロリンズが3年約17億円でバックスと再契約|成長著しい若手PGに長期投資

2025年7月7日(現地時間6日)、NBAのミルウォーキー・バックスがライアン・ロリンズとの再契約に合意したと『ESPN』が報じた。契約期間は3年間、総額1200万ドル(約17億5200万円 ※1ドル146円換算)で、3年目にはプレイヤーオプションが付与されている。

23歳となったばかりのロリンズにとって、この契約はキャリア初の安定的な複数年契約となり、NBAでの地位を確立する大きな一歩と言える。2024年に本契約を勝ち取ったばかりの彼が、なぜここまでの評価を得るに至ったのか。その成長とバックスにおける立ち位置を紐解いていく。

ロリンズのキャリアの軌跡|ドラフト2巡目からの逆転劇

ロリンズは2022年のNBAドラフトで2巡目全体44位でアトランタ・ホークスから指名されるも、即座にゴールデンステイト・ウォリアーズへトレード。NBA入り初年度は強豪チームの中で限られた出場機会を得るにとどまり、翌2023年にはワシントン・ウィザーズへ移籍するも、プレータイムは不安定だった。

転機が訪れたのは2024年2月。ウィザーズからウェイブ(保有権放棄)された直後、ミルウォーキー・バックスと2ウェイ契約を結び、Gリーグとの兼用選手として出場。その後3月には本契約を勝ち取り、レギュラーシーズン終盤にはローテーションの一角に定着するなど、急成長を見せた。

2024-25シーズンのスタッツと飛躍

2024-25シーズン、ロリンズはバックスで56試合に出場(うち19試合で先発)し、平均14.6分の出場時間で6.2得点、1.9リバウンド、1.9アシストをマーク。スタッツだけ見ると目立たないが、フィールドゴール成功率48.7%、3ポイント成功率40.8%という高効率が評価を高めた。

特に4月の7試合では、出場時間が増える中で平均10.9得点、2.9リバウンド、4.0アシストを記録。フィールドゴール成功率53.7%、3ポイント成功率52.2%と高い精度を誇り、スターターとしても十分に機能することを証明した。

この一連のパフォーマンスが評価され、若手育成と同時に勝利を求めるバックスにおいて、ロリンズは“必要不可欠な戦力”として位置付けられることになった。

バックスのガード陣における立ち位置


バックスのバックコートには、ドリュー・ホリデー、デイミアン・リラードといった実力者が名を連ねていたが、リラードのケガによる長期離脱により、2024年シーズン中盤からロリンズが台頭する機会が生まれた。

結果としてロリンズはその期待に応え、セカンドユニットの司令塔としてだけでなく、試合展開によっては先発ガードとしても活躍。バックスが今後、リラードに代わる若手司令塔を育てるという長期的視点に立った場合、ロリンズはその最有力候補といえるだろう。

また、デフェンスでも193cmのサイズとウイングスパンを活かした対人守備に強みがあり、コンボガードとしての将来性も高く評価されている。

バックスの再編とロリンズへの期待

ここ数年、ミルウォーキー・バックスはヤニス・アデトクンボを中心としたチャンピオンシップ路線を維持しながらも、プレーオフでは3年連続で1回戦敗退を喫している。こうした結果を受けて、今オフは大胆なロスター再編を断行。

– 再契約:ボビー・ポーティス、ギャリー・トレントJr.、ケビン・ポーターJr.、トーリアン・プリンス
– 移籍:ブルック・ロペス(→クリッパーズ)
– 新加入:マイルズ・ターナー(←ペイサーズ)

このような流れの中で、ロリンズの再契約は単なる若手育成の文脈ではなく、戦力の中核へとステップアップを期待されてのものである。

本人と球団が見据える未来


バックスのフロントはロリンズとの再契約に際し、「彼はこの短期間で多くを証明した。ベテランと若手のバランスを取る我々にとって、ロリンズのような存在がチームの未来を繋ぐ橋渡し役となる」と高く評価。

一方、ロリンズ自身も再契約後のインタビューで「自分を信じてくれたチームに感謝している。この環境で自分の可能性を広げたい」と語っており、今後は自身の武器である“ゲームリズムの読み”や“タフネス”をさらに高めていく意向を示した。

まとめ:若き司令塔候補が手にした“3年の信頼”

ライアン・ロリンズは、NBAにおいて決して恵まれたスタートを切ったわけではない。だが、その分“這い上がる力”と“準備された者”としての冷静さを武器に、バックスという強豪チームでの地位を確実に築いてきた。

3年17億円という契約には、単なる数字以上の「信頼」と「期待」が込められている。2025-26シーズン以降、バックスが本気でタイトル奪還を狙うなら、ロリンズの覚醒は必要不可欠だ。

新たなステージに進む若きガードの挑戦は、まだ始まったばかりだ。