福大大濠で全国の中学生がプロの指導を体験
2025年6月14日〜15日、福岡大学附属大濠高等学校の体育館で、中学生向けのバスケットボール育成合宿「88 Special Camp×福大大濠トロージャンズ」が開催された。この合宿は、川崎ブレイブサンダースの篠山竜青、ベルテックス静岡の橋本竜馬、そして元Bリーガーの湊谷安玲久司朱ら、1988年生まれのプロOBを中心に構成された「88 Basketball」による特別企画。全国から約100名の応募があり、その中から選抜された28名の中学生が参加した。
会場となったのは、ウィンターカップとU18日清食品トップリーグの2冠を達成した福大大濠高校の体育館。全国屈指のバスケットボール強豪校で、未来のトッププレーヤーたちが夢を育む2日間が始まった。
プロ仕様の指導が成長を加速させる
今回の合宿には篠山・橋本に加え、現役Bリーグのコーチ6名が参加。初日は実戦を意識したドリルを中心に、2日目にはビデオセッションによるフィードバックと個別課題の洗い出しが行われ、まさにプロが実践するトレーニングがそのまま提供された。
名古屋ダイヤモンドドルフィンズACの川原侑大氏は、「自分がどんな選手になりたいか、明確にイメージすることが重要」と語り、大森勇氏(トライフープ岡山HC)は「毎日の練習の質がそのまま未来に繋がる」と、積み重ねの大切さを中学生に訴えた。
実技指導の中では、篠山が「コーナーで構えて打てる準備を常にしておくこと」とポジショニングの重要性を説き、参加者たちは基礎技術の意味を実感。「どうして基礎が大切なのか分かった」といった声が多く聞かれた。
全国の仲間と切磋琢磨し見えた課題
琉球ゴールデンキングスU15に所属する川満佑絃選手は、「1on1のスキルは通用したが、ディフェンス面で課題が見つかった」と語り、自身の現状と向き合う機会となった。全国から集まった同年代の仲間との交流は、自分の現在地を知り、目指すべき未来を描くための貴重な機会でもある。
さらに、2日目の午後に行われたチーム対抗戦では、昼休みの自主練習から参加者の自発性が発揮され、試合を重ねるごとに連携の質が向上。「誰がどこのポジションか分からない中でミスが起きたが、しっかり話し合って改善できた」と語ったTokyo Samurai所属の保科天晴は、コミュニケーションの重要性を体感した。
福大大濠の「文化」も成長の糧に
この合宿では、技術や戦術だけでなく、環境づくりや人間性に触れることもできた。参加者の秋大貴(仙台89ERS U15)は、「大濠の生徒が自分たちの練習ではないのに床を拭いたり、声を出して盛り上げてくれた」と、名門校の文化を肌で感じた様子。
福大大濠の現役生でU16代表合宿にも招集された村上敬之丞は、「バスケを楽しむことが一番」と語りつつ、「チャレンジしないとチャンスもない」と参加者を鼓舞。名門が大切にする精神的な柱を、参加者にしっかりと伝えていた。
「いままで≠これから」片峯コーチの言葉
合宿を締めくくるミーティングでは、片峯聡太コーチが「いままで≠これから」という言葉を投げかけた。「これまで出来ていたことも、努力をやめれば出来なくなる。でも、今はできないことだって工夫と努力で必ずできるようになる」と参加者の背中を押した。
参加者の多くは、憧れの高校の体育館でプロやトップコーチから直接学び、同年代の仲間と本気でバスケに向き合うことで、単なるスキルアップだけでなく、自立・協調・継続といった人生に必要な要素までをも体得していった。
合宿を終えて|“体験”が未来への第一歩に
この合宿で得た学びは、単なる2日間の出来事に留まらない。実力者による指導、福大大濠という憧れの場所での実戦、全国の仲間との競争と協力——。そのすべてが参加者の内面と外面を成長させるきっかけとなった。
88 Special Camp×福大大濠トロージャンズは、中学生たちに「上手くなるとは何か」「夢に向かって何をすべきか」を問いかけ、答えを見つけるための本気の体験を提供した。将来この中から、プロの舞台で活躍する選手が現れることは想像に難くない。