オクラホマシティ・サンダーが栄光の頂点へ──46年の歳月を超えたNBA制覇
2025年6月22日(米国時間)、NBAファイナル第7戦がオクラホマシティのペイコム・センターで開催され、ウェスタン・カンファレンス1位のオクラホマシティ・サンダーが、イースタン4位のインディアナ・ペイサーズを103対91で下し、シリーズ4勝3敗で頂点に立った。1979年以来となる通算2度目の優勝であり、オクラホマシティ移転後では初のタイトル獲得という歴史的快挙である。
開始直後から均衡、主導権はペイサーズかと思われたが…
試合は序盤から両チームが激しく攻防を繰り広げ、1点を争う緊迫した展開となった。第1クォーター残り5分、ペイサーズの司令塔タイリース・ハリバートンが右足を負傷して戦列を離れるという不運に見舞われた。それでもインディアナはハードディフェンスと確かなボールムーブメントで応戦し、前半終了時点では47対48と1点差に詰め寄っていた。
後半に入ると展開が一変、サンダーの攻勢が加速
後半に入ると流れは完全にサンダーへ。第3クォーター、相手のターンオーバーを効果的に得点へと結びつけ、一気にリズムを掴んだ。とりわけ速攻の切り替えが鋭く、ディフェンスからオフェンスへの転換が功を奏した。スコアは第3クォーター終了時点でサンダーが大きくリードを広げ、最終クォーター序盤には点差が最大22点に達した。
観客の大声援「OKC」チャントがアリーナに鳴り響くなか、サンダーは集中力を保ち続け、最後までリードを守り抜いて勝利を掴んだ。
シェイ・ギルジャス=アレクサンダーが2冠の輝き
この試合で最も注目されたのは、今季のレギュラーシーズンMVPであるシェイ・ギルジャス=アレクサンダー。彼はこの最終戦でも29得点12アシストを記録し、ファイナルMVPにも選出された。高いバスケIQと冷静なゲームコントロールにより、チームを勝利へと導いた彼の存在はまさに王者の柱だった。
さらに、ルーキーながら18得点5ブロックの活躍を見せたチェット・ホルムグレンも大きな貢献を果たし、チーム全体では5人が2桁得点をマークするバランスの良いオフェンスが光った。
ペイサーズの粘りと可能性、マサリンが意地を見せる
敗れはしたものの、ペイサーズも見事な戦いぶりを見せた。中でもベネディクト・マサリンは24得点13リバウンドのダブルダブルを記録し、チームの得点源として躍動。攻守両面でエネルギッシュなプレーを披露した。
また、ハリバートンの離脱後はパスカル・シアカムがリーダーシップを発揮し、16得点を記録するなど、チームとして崩れることなく最後まで競り合いを演じた。
NBAファイナル2025 第7戦のスコア内訳
チーム | 第1Q | 第2Q | 第3Q | 第4Q | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
インディアナ・ペイサーズ | 22 | 26 | 20 | 23 | 91 |
オクラホマシティ・サンダー | 25 | 22 | 34 | 22 | 103 |
再建から栄光へ──サンダーが歩んだ改革の軌跡
ここ数年、サンダーはドラフト指名と育成方針に重きを置き、若手選手の成長に賭けてきた。その結果として、今季の王者として名を連ねることとなった。ギルジャス=アレクサンダー、ホルムグレン、ギディーといった若き才能が集結し、チームの核として機能したことが今回の成功の大きな要因である。
特にディフェンス面での進化は顕著で、ブロック数やスティール数でリーグ上位を維持。フィジカルだけでなく、戦術理解力の高さが、勝負どころでの強さに結びついている。
インディアナの挑戦、再評価される東カンファレンスの存在感
一方で、ペイサーズの快進撃もNBAファンに新たなインパクトを与えた。カンファレンス4位からファイナル進出を果たしたその過程には、多くの接戦と逆転劇があった。マサリンのブレイク、ハリバートンのゲームメイク、シアカムの経験値が融合したことで、成長途上にあるチームに大きな可能性を感じさせた。
この敗戦は痛手であると同時に、チームにとっては確かな自信と糧となるはずだ。来季以降も注目を集める存在になることは間違いない。
NBAの勢力図に変化、サンダーが新たな時代の扉を開く
今回の優勝により、サンダーは単なるシンデレラストーリーではなく、現代NBAにおける新たなスタンダードを提示したとも言える。スター選手の獲得ではなく、自前の選手育成と戦術的アプローチによって築いた王者像は、多くのチームにとって参考となるモデルとなるだろう。
そして、シェイ・ギルジャス=アレクサンダーは今後のNBAを象徴する存在として、世界中のバスケットボールファンに名を刻むこととなった。
まとめ:46年の歴史を超えた栄冠、オクラホマシティの歓喜
2025年のNBAファイナル第7戦は、サンダーにとって、そしてNBA全体にとっても記念碑的な試合となった。46年という長い時間を経てのタイトル奪還は、選手たちだけでなく、フロント、スタッフ、そしてファンにとっての集大成だった。
新たな時代の幕開けを告げるこの勝利が、次のシーズンへどのような影響を与えるのか。NBAの未来は、再びサンダーの手の中にある。