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【ユーロバスケット予選2025】スペイン代表がまさかの連敗スタート、サイズ出場も実らず

ユーロバスケット2025予選が開幕:欧州の頂点を目指す戦いがスタート

2024年2月22日、欧州バスケットボール界が注目する「FIBAユーロバスケット2025予選」がついに開幕した。この大会は、FIBAヨーロッパに加盟する国々が2025年に開催予定の本大会出場をかけて、数回に分けて行われる“予選ウィンドウ(Window)”を戦い抜く形式で行われる。

開幕戦から波乱が起こったのは、FIBAランキング2位を誇る強豪スペイン代表の不調である。Window1において、グループ内で対戦したラトビア(同8位)、ベルギー(同39位)にまさかの連敗を喫し、今後の巻き返しが求められる展開となった。

スペイン代表:スター選手揃いの布陣も不安定なスタート

スペイン代表は長年にわたって欧州バスケットボールをリードし、2019年のFIBAワールドカップ優勝を含め、数々の国際大会で輝かしい成績を残してきた。ガソル兄弟やリッキー・ルビオといったスター選手が長年支え、組織力と高い技術が特長の伝統ある代表チームだ。

今回のWindow1では、Bリーグ・アルバルク東京に所属するセンターのセバスチャン・サイズもロスター入り。サイズはガーナ出身だが、スペイン国籍を取得しており、近年は代表の重要なピースとして期待されている。

初戦 vs ラトビア:接戦を制せず惜敗

2月22日に行われた初戦の相手は、FIBAランキング8位の実力派・ラトビア代表。試合序盤から両チームは互角の戦いを繰り広げ、前半を終えてスコアは37-40とスペインがわずかにビハインド。

サイズは途中出場ながらも積極的にゴール下を攻め、フックシュートやリバウンドでチームに貢献。第3クォーターにはインサイドからの得点で流れを引き寄せる場面もあった。しかし、試合終盤はラトビアが落ち着いたゲーム運びを見せ、フリースローで着実に加点。最終スコア75-79でスペインは悔しい敗北となった。

第2戦 vs ベルギー:前半のリードを守りきれず

続く2戦目は格下と目されたベルギーとの対戦。前半はスペインが主導権を握り、ディフェンスでも機能し26-19と7点差でハーフタイムへ。しかし、後半に入るとベルギーが堅守速攻で逆襲を開始。

第3クォーター終了時には逆転を許し、スペインは追う展開に転じた。第4クォーターで一時は再逆転を果たすも、終盤に得点が止まり、結果的に53-58と再び敗戦。Window1を連敗で終える厳しい結果となった。

セバスチャン・サイズの代表での挑戦と評価

ラトビア戦では14分19秒の出場で7得点、2リバウンド、1スティールを記録し、短い時間ながら存在感を示した。一方、ベルギー戦では4分58秒の出場にとどまり、2得点と結果を残せなかった。まだ代表内での役割が明確ではない中でも、彼の身体能力と経験値には注目が集まっている。

クラブチームでの活躍を背景に、今後の代表戦での飛躍が期待される。特にスペイン代表のインサイドにおける層の薄さを考えると、サイズの台頭はチーム再建に不可欠な要素となる可能性がある。

スペインの課題:得点力と終盤の対応力

スペインが2試合を通じて浮き彫りにしたのは、試合終盤の得点力不足だ。特に第4クォーターでのシュート精度と判断力に課題が見られ、接戦での勝負強さを欠いた形となった。

また、Windowごとに選手が入れ替わる代表形式の難しさも影響しており、連携不足やチーム戦術の浸透度にばらつきがあった印象だ。ベンチからの采配やタイムアウトの使い方など、コーチ陣にも修正が求められる。

他国の躍進とユーロバスケット予選の混戦模様

スペインの苦戦は、他国のレベルアップも浮き彫りにしている。ラトビアは2023年のFIBAワールドカップでも上位進出を果たすなど近年台頭しており、ベルギーも国内リーグの強化と若手育成の成果が現れつつある。

今や「伝統国=予選通過確実」という時代ではなくなり、全ての試合での準備と集中が必要不可欠な時代となっている。実力伯仲のヨーロッパにおいて、1敗の重みは非常に大きい。

今後の予選スケジュールとスペインの巻き返し戦略

ユーロバスケット予選は今後もWindow2、Window3…と続き、年間を通して展開されていく。各グループの上位チームが本大会出場権を得るため、残りの全試合での勝利がスペインには必須条件だ。

次回のWindowに向けては、戦術の再設計や新戦力の発掘、フィジカル面での調整が求められる。経験豊富なベテランに加えて、サイズのような新興勢力の成長が鍵となるだろう。

まとめ:伝統国スペインの真価が問われる予選

開幕からの2連敗という厳しいスタートを切ったスペイン代表だが、その実力と伝統は誰もが認めるところ。ユーロバスケット2025予選が進む中で、彼らが再び勢いを取り戻し、欧州の舞台で輝けるのかが注目される。

セバスチャン・サイズをはじめとした選手たちの奮闘と、チーム全体の巻き返しに期待が集まる。ファンもまた、彼らの戦いから目を離すことはできない。

【引退速報】ユーロリーグの歴代最多スコアラー、ヴァシリス・スパノウリスが現役生活に幕

スパノウリス引退:ヨーロッパが讃える伝説の背番号

2021年6月、ギリシャ出身のバスケットボール界の巨星、ヴァシリス・スパノウリスが現役生活にピリオドを打った。欧州バスケファンの間では「Kill Bill」の異名で親しまれ、その名はユーロリーグを筆頭に国際舞台で語り継がれている。彼の引退発表はギリシャ国内のみならず、欧州全体を大きく揺るがすニュースとなった。

21年間のプロキャリアを締めくくった彼は、戦術眼、リーダーシップ、そして卓越したスキルで数々のクラブと代表チームを牽引してきた。その象徴的な活躍ぶりから「フロア上の監督」とも称されており、後進のロールモデルとしても強い影響力を誇っている。

ラリサの少年が掴んだ欧州最高峰の舞台

1982年にギリシャ・ラリサで生まれたスパノウリスは、地元クラブであるラーリサBCでキャリアをスタートさせた。10代半ばから非凡なセンスを発揮し、ギリシャ国内の注目株として急成長。やがて2001年にはアマリリオスBC、そしてギリシャの名門パナシナイコスへとステップアップし、その才能を本格的に開花させていく。

当時のギリシャリーグは、ユーロリーグ上位を争うクラブが多数所属する“欧州バスケの心臓部”。そこでスパノウリスは着実にスキルを磨き、ゲームメイク能力と冷静な判断力を武器に存在感を増していった。

NBAでの挑戦と“未完の武者修行”

2006年、ヨーロッパでの評価を確立していたスパノウリスは、ヒューストン・ロケッツとの契約によりNBAへ進出。彼の年俸は当時としては異例の200万ドル。だが、アメリカのバスケットは決して彼にとって“楽園”ではなかった。

NBA特有のフィジカル重視のスタイル、短いプレータイム、言語や文化の壁——。彼のNBAでの平均スタッツは2.7得点・0.9アシストにとどまり、思うような結果は残せなかった。しかし本人は後に、「あの経験が自分をより強くした」と語っており、バスケット観の幅を広げた重要な経験であったことは間違いない。

帰還後の躍進:オリンピアコスで築いた黄金時代

2007年、ヨーロッパに戻ったスパノウリスはパナシナイコスでユーロリーグ優勝を経験したのち、2010年に最大の転機を迎える。ライバルチームであるオリンピアコスBCへ移籍。ここから彼の“第二章”が始まった。

2012年・2013年・2017年のユーロリーグ制覇、ギリシャリーグ複数回制覇、ユーロリーグファイナル4 MVPに3度輝くなど、まさにクラブ史に残る伝説的な活躍を見せた。特に2012年のユーロリーグ決勝におけるCSKAモスクワ戦は、バスケットボール史に残る逆転劇として語り継がれている。

ユーロリーグでの輝かしい実績

スパノウリスのキャリアは、数字でも鮮やかにその偉大さを物語っている。彼のユーロリーグにおける主な記録は以下の通り:

  • 通算得点:4,445点(歴代1位)
  • 通算アシスト:1,607本(歴代1位)
  • 出場試合数:358試合(歴代2位)
  • 3ポイント成功数:518本(歴代2位)

これらの記録は、長年にわたって安定したパフォーマンスを維持し続けた証左であり、攻撃の核かつ組み立て役として両立できたスパノウリスのバスケットIQの高さを如実に示している。

国際舞台でも輝いたギリシャ代表

クラブだけでなく、スパノウリスはギリシャ代表としても黄金時代を築いた。2005年のユーロバスケットではギリシャを金メダルに導き、2006年のFIBAワールドカップではアメリカ代表を破る大金星の立役者として準優勝を飾った。

世界のトップ選手を相手にした試合でも、彼のクレバーなゲーム運びは健在。攻撃のリズムを司り、状況判断に優れたプレーで世界中のファンを魅了した。

SNSで語られた“引退の言葉”

彼は引退発表時、自身のInstagramを通じて次のようなメッセージを発信した。

バスケットボールは私にすべてを与えてくれた。これまで共に歩んできた仲間、コーチ、ファン、そして何より家族に感謝したい。オリンピアコスは私にとって人生最大の贈り物。これ以上の幸運はなかった。

この投稿は瞬く間に世界中で拡散され、彼の人間性と感謝の気持ちが多くの共感を呼んだ。

ファンと選手からの惜別の声

引退発表後、SNSでは「ギリシャの至宝」「ユーロの象徴」といった称賛のコメントがあふれ、NBAのスター選手ルカ・ドンチッチも「スパノウリスは僕のヒーロー」と発言。特にバルカン半島出身の選手たちは、彼から多くの影響を受けていたことを公言している。

彼のキャリアは、プレーだけでなく、人間性、継続力、献身性といった多面的な魅力で彩られていた。

コーチとしての“新たな挑戦”

引退からわずか1年後の2022年、スパノウリスはギリシャのペリステリBCでヘッドコーチに就任。初年度からチームに新風を吹き込み、若手選手の育成にも熱心に取り組んでいる。

現場での戦術眼とリーダーシップはそのままに、新たな立場からバスケットボール界を支える存在として再び注目を集めている。

まとめ:スパノウリスの“神話”は終わらない

ヴァシリス・スパノウリスが歩んだキャリアは、勝利と記録だけでは語り尽くせない。彼は一つのクラブを愛し抜き、一つの国の象徴となり、一つの世代を鼓舞し続けてきた。

彼が築いた軌跡は“神話”として語られ、そのスピリットはこれからもユーロリーグ、そして世界中のバスケ界に脈々と受け継がれていくだろう。