福大大濠、NBA高校国際大会で準決勝進出|圧倒的守備と全員バスケで65点差勝利

NBA主催の新国際大会、舞台はシンガポール

2025年6月26日、シンガポールで開催されている『NBAライジングスターズ・インビテーショナル』男子予選グループにて、日本代表として出場している福岡大学附属大濠高校がその実力を見せつけた。グループステージ第2戦でマレーシア代表のヒンファ高校と対戦し、90−25という驚異的なスコアで勝利。大会無傷の2連勝で準決勝進出を決め、世界に向けて大濠バスケの存在感を大きく示す形となった。

立ち上がりから主導権を掌握、完封ディフェンス

この日、福大大濠は初戦と同様、榎木璃旺、栗原咲太郎、村上敬之丞、サントスマノエルハジメ、廣田翼の5人を先発に送り出した。ゲーム開始直後、榎木が放ったジャンプショットがネットを揺らし、チームの攻撃に火を点ける。その後はリバウンドでも主導権を握り、セカンドチャンスから確実に加点。特筆すべきはディフェンスで、第1クォーターの開始5分以降、相手をわずか3得点に抑える完封守備を展開。23−3と一気に点差を広げ、試合の流れを完全に掌握した。

攻守に揺るぎなし、第2Qでも突き放す

第2クォーターも集中力は途切れず、的確なパスカットやスティールが光った。榎木と栗原を起点にしたトランジションオフェンスが冴え、さらに28−9とリードを拡大。相手のドリブルへのプレッシャー、ゾーンの読みの鋭さ、インサイドでの身体の張り方など、どの局面でも大濠が一枚上手だった。ゲームの支配権を完全に掌握した状態でハーフタイムを迎えた。

後半も手を緩めず、最大65点差でフィニッシュ

後半に入っても、福大大濠は一切の油断を見せなかった。特に第3クォーターは圧巻の33得点を記録し、相手をわずか4点に抑えるというワンサイドゲームを演出。第4クォーターではベンチメンバーの出場時間も増えたことでシュート精度がやや落ちたが、それでも守備の強度は維持され、最終スコアは90−25。今大会最大の得点差となる65点差をつけて圧勝した。

9選手全員がスタッツを記録、バランスの取れた勝利

試合後に発表された個人スタッツによると、栗原咲太郎と榎木璃旺がともに15得点でチームを牽引。サントスマノエルハジメと廣田翼が14得点ずつを挙げ、村上敬之丞が11得点と続いた。さらに、途中出場の山元珠來も10得点を記録するなど、9人全員がスコアに絡む結果となった。加えて、リバウンド、スティール、アシストの面でも全員が数字を残しており、「全員バスケ」の真骨頂を示す試合内容だった。

ゲームキャプテン・榎木の冷静な視点と決意

試合後、キャプテンとしてチームをけん引した榎木璃旺は「次の準決勝は確実に今よりも厳しい試合になる。だからこそ、チーム全体で気を引き締めて、細かいプレーにこだわりたい」とコメント。勝利の余韻に浸ることなく、すでに次の戦いに意識を向けている様子からも、大会に懸ける思いの強さがうかがえる。

NBAライジングスターズ・インビテーショナルの意義とは?

この大会は、2025年に新設されたNBA主催の国際高校バスケットボール大会で、将来のスター候補たちを早期から発掘・育成することを目的としている。アジア太平洋地域から11の国と地域の選抜校が集結し、男女それぞれのカテゴリーで競い合う。参加国にはオーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、韓国、台湾などが含まれており、国際的な競争力を養う貴重な機会となっている。

日本からは、男子の福岡大学附属大濠高校(福岡県)、女子の京都精華学園高校(京都府)が選出され、国内でも高い注目を集めている。特に男子代表の大濠は、長年全国大会の常連校であり、育成・戦術・組織力いずれも国内トップクラスのプログラムを誇る。

準決勝の相手と今後の展望

大濠の準決勝は、6月28日に行われる予定。対戦相手は別グループで勝ち上がってきたアジア有数の強豪校となる見込みだ。スピード、フィジカル、サイズ、どれを取っても一筋縄ではいかないチームが相手となるだろう。それでも、大濠は今大会ここまでの2試合で、戦術遂行力・選手層の厚さ・守備意識の高さを証明しており、優勝候補としての地位を確立している。

勝てば決勝進出、そしてNBA主催の国際大会初代王者という称号が見えてくる。日本バスケ界の未来を担う世代が、この大舞台でどこまで上り詰められるか、注目が集まる。