ジョーンズカップ2025|男子日本代表がカタールに劇的勝利!脇真大が27得点の大活躍で初白星

ジョーンズカップ男子日本代表、カタールに競り勝ち今大会初白星

2025年7月13日、「第44回ウィリアム・ジョーンズカップ」男子日本代表が激戦の末にカタール代表を86-84で破り、今大会待望の初勝利を手にした。初戦でバーレーンに敗れていた日本代表にとって、この勝利は精神的にもチーム力的にも大きな意味を持つものとなった。

オーバータイム(延長戦)にまでもつれ込んだこの試合では、琉球ゴールデンキングス所属の脇真大が27得点10リバウンドのダブルダブルを記録。とくに延長戦では勝敗を分ける4得点を決め、MVP級の働きを見せた。

序盤から追いかける展開、逆転と再逆転の応酬

初戦の敗戦を引きずるかのように、日本は立ち上がりからやや硬さが目立ち、カタールに主導権を握られた。第1クォーターを17-23、第2クォーターも16-16で終え、6点ビハインドのまま前半を折り返す。

後半に入ると、日本は3ポイントシュートの精度を取り戻し、第3クォーターで26点を記録し逆転に成功。しかし、試合終盤で再びカタールに迫られ、第4クォーターは19-23と押し込まれて、最終スコア77-77で延長戦に突入した。

そしてオーバータイムでは、冷静なフリースローと脇真大のクラッチプレーが光り、最終スコア86-84で劇的な勝利を収めた。

脇真大がエースとして覚醒、リーダーシップも発揮

今大会を通じて注目を集めているのが、脇真大(琉球ゴールデンキングス)である。日本バスケ界の次世代を担う逸材として期待されていた彼は、この試合でそのポテンシャルを存分に発揮した。

攻撃では27得点に加え、10リバウンドをマークし、リム下での強さも証明。さらに延長戦ではプレッシャーのかかる局面で4得点を挙げ、チームを救った。

試合後には「チームとしての我慢が勝利につながった」とコメント。個の力に加えて、チームリーダーとしての自覚も感じさせる内容だった。

若手中心の構成で奮闘した日本代表メンバーたち

脇の活躍に加え、他の若手選手たちも躍動した。アルティーリ千葉の黒川虎徹は12得点6リバウンド4アシストと攻守にバランスよく貢献。特にトランジションでの展開力は光っていた。

また、東海大学の中川知定真が10得点5リバウンド2スティールをマークし、堅実なプレーで存在感を発揮。名古屋ダイヤモンドドルフィンズへの加入が決まっている小澤飛悠も二桁得点で勝利に貢献した。

白鷗大学のウィリアムスショーン莉音は7得点10リバウンド1ブロックと、ゴール下での守備で大きな役割を果たしており、バランスの取れたチーム構成が功を奏した試合となった。

ジョーンズカップの意義と今後の展望

ジョーンズカップは、アジア各国の代表や準代表クラスの選手が集う貴重な実戦の場。若手にとっては国際経験を積む絶好のチャンスであり、将来のA代表入りを目指す登竜門でもある。

今回の男子日本代表は、ベテラン不在の若手中心構成という“ディベロップメント・ロースター”で挑んでおり、選手個々のアピール機会が重視されている。ここで得た経験が今後のBリーグや国際大会に生かされることは間違いない。

特に、将来的に3×3日本代表やGL3x3参戦の可能性も秘めた人材が多く、国内外での育成が進んでいることを証明する大会ともなっている。

次戦は強豪フィリピン代表戦、カギはディフェンスと我慢

次戦の相手は、FIBAアジアで常に上位を争うフィリピン代表。GL3x3でもおなじみのキーファー・ラベナ(横浜ビー・コルセアーズ)がチームを牽引する強敵だ。

日本代表にとっては、ディフェンスの粘りと試合終盤での我慢が勝敗を左右する鍵となる。脇真大を中心に、どこまで集団として機能できるかが問われる。

また、フィリピン戦ではプレースタイルの違いが顕著になることが多く、インテンシティの高い試合展開が予想される。スピードとフィジカルのバランスをいかに取るかが、試合の流れを左右するポイントになるだろう。

勝利の裏にある“精神的な成長”とチームの一体感

今回の勝利には、数字やプレーだけでは測れない“精神的な成長”が色濃く表れていた。特に終盤、連続でリードを許す展開の中で、誰一人として下を向かず、最後まで声を掛け合い続けた選手たちの姿は、単なる若手集団ではない「戦うチーム」としての片鱗を見せていた。

脇真大をはじめ、黒川や中川、小澤といった選手たちが積極的にコミュニケーションを取りながらディフェンスラインを整える場面が何度も見られ、精神的な集中力が持続した点は、チームにとって大きな財産となる。

この経験を通じて、個々が技術だけでなくマインド面でも大きく成長を遂げている。ジョーンズカップを単なる「若手の試合機会」にとどめず、次世代の日本代表像を体現する機会として位置づけることが、今後の強化方針においても重要だろう。

まとめ:ジョーンズカップ初白星で見えた可能性と課題

ジョーンズカップでの初勝利は、数字以上に意味ある成果だった。若手主体のチームが国際舞台で勝利を掴んだことで、日本バスケ界の未来への光が見えたと言える。

課題は依然として存在する。ディフェンスの強度、ターンオーバー、ファウルトラブル、シュートの安定感など、改善すべき点は多い。しかしながら、今大会で得られる経験は今後のキャリアにおいて非常に貴重なものとなる。

次なる試合に向けて、選手たちのさらなる飛躍に期待が高まる。GL3x3や3×3バスケとのクロスオーバーの可能性も含めて、日本代表の“今”と“未来”を追いかけていきたい。