日本代表が韓国に2連敗、ホーバスHC「成熟度に差」若手台頭と今後の課題に言及

韓国遠征での2連敗、日本代表が直面した“現実”とホーバスHCの冷静な分析


2025年7月13日、韓国・ソウルにて行われた男子日本代表の国際強化試合で、日本は韓国代表に69-84と完敗。前戦に続いて連敗を喫し、ホーバスHCは試合後、「非常に理想的なチームを見た」と韓国代表を称えるコメントを残した。ランキング上はFIBA世界21位の日本に対し、韓国は53位という位置付けながら、試合内容ではむしろ逆の結果となった。

本記事では、敗因の分析だけでなく、日本代表の現在地や若手の台頭、今後の展望に至るまで、詳細にリポートしていく。

2試合連続の黒星、主導権を握れなかった日本

第1戦(77-91)に続く第2戦は、序盤から韓国に主導権を握られる展開となった。日本は3ポイントシュートが不調で、成功率はわずか25.0%(10/40)。ターンオーバーも12本と多く、攻撃のリズムを構築できないまま点差を広げられた。

第4クォーターではジェイコブス晶が気を吐き、1人で14得点を挙げるなど反撃を試みたが、大差を覆すには至らなかった。

ホーバスHCは「第4Qのような戦い方が本来の我々。しかしそこまで持っていけなかったのは、我々の未熟さと韓国の守備の素晴らしさが要因」と語り、相手の組織力を高く評価した。

ホーバスHCが語る韓国代表の“理想形”

試合後の記者会見でホーバスHCは、「韓国は非常に成熟している」と語り、ボールムーブメントや全員得点のシステムを「現代バスケットにおける理想的な形」と評した。FIBAランキングでは測れない実力差を強調し、「実際に戦えば、その真価がわかる」との見解を示した。

韓国は近年、国内リーグKBLの強化を背景に代表強化も着実に進んでおり、現時点での完成度は日本を上回っていたといえる。

若手選手の奮闘と新戦力の発掘

苦しい展開の中でも、希望の光はあった。ジャン・ローレンス・ハーパージュニアは攻守で積極的なプレーを見せ、指揮官から名指しで評価された。また、1本の3ポイント成功にとどまった山﨑一渉についても、「伸びしろがある」と前向きな評価がなされた。

ホーバスHCは「今はプロセスの途中。新しい選手がステップアップする時間が必要」とし、アジアカップ本番に向けての成長段階であることを強調した。

不在の主力選手たち――河村、富永、富樫、比江島

今回の韓国遠征には、いわゆる“主力不在”の状態で臨んでいた。中でも注目されるのが、NBAサマーリーグ参戦中の馬場雄大(無所属)、富永啓生(ネブラスカ大学出身)、河村勇輝(シカゴ・ブルズ)の3名だ。

ホーバスHCは「彼らがどう評価されるか次第だが、本人たちはアジアカップへの強い意欲を持っている」と述べ、今後のスケジュールやチーム構成に柔軟に対応する考えを示した。

富樫勇樹(千葉ジェッツ)については「出場意志を確認している。帰国後に話し合う」とした上で、調整段階であることを明言。

一方で、代表引退を示唆していた比江島慎(宇都宮ブレックス)については「アジア選手権まで戦い続けていたが、今回は不参加」と断言した。

アジアカップへ向けたラストチャンスはデンマーク戦


現在、日本代表に残された強化試合は、7月19日・20日にLaLa arena TOKYO-BAYで予定されているデンマーク代表(FIBAランキング59位)との連戦のみ。

この2試合が、2025年8月に予定される「FIBAアジアカップ2025」本大会前の“ラストテスト”となる。

ここでのパフォーマンス次第では、メンバー選考に大きな影響を与える可能性も高く、新旧交代を見据えた人選にも注目が集まる。

代表の“今”と“これから”――変革期にいるチーム

ホーバスHCが着任して以来、日本代表はNBAスタイルを取り入れたハイスペースバスケットを志向し、スピーディーで自由度の高い戦術を磨いてきた。しかしその一方で、安定感や成熟度という面ではまだ発展途上にある。

韓国戦での敗北は、その“未完成さ”を明るみにしたとも言えるが、それはまた大きな成長のきっかけにもなり得る。

ホーバスHCの「これはプロセスの一部。焦らず次に進む」という言葉には、長期的なチーム強化に向けた確固たる意志が感じられた。

課題の明確化と今後の強化方針――日本代表の“成長ロードマップ”

今回の韓国遠征は、日本代表にとって多くの課題を浮き彫りにした試合だった。3ポイントの精度、ターンオーバーの数、ディフェンス時のローテーション、そして試合の入り方の甘さ。これらの要素は、すべて今後の強化ポイントとしてチームが取り組むべきテーマとなる。

特にペリメーターの守備力は、アジア勢との戦いにおいて生命線とも言える分野だ。韓国戦ではスイッチの遅れから外角を容易に打たれ、そこを起点にインサイドを攻め込まれるケースが目立った。これに対し、ホーバスHCは「個々の1on1ディフェンスの強化だけでなく、ヘルプの連携を高めることが重要」と語り、組織的な守備意識の底上げを課題として挙げている。

一方で、オフェンスにおいても課題は山積している。ドリブルからの展開が単調になり、相手の守備網に捕まる場面が目立った。ホーバス体制では常に「スペースとボールムーブメント」が重要視されてきたが、現時点では戦術が若手選手に十分に浸透していないようにも見受けられる。

そのため、デンマーク戦を含めた残りの強化試合では、いかに戦術の再確認と浸透を図れるかが焦点となる。選手同士の連携を高めるためには、試合の中で“失敗してもチャレンジする”というメンタリティの醸成も重要だ。

ファンが支える“成長の物語”とアジアカップへの期待

日本代表は現在、世代交代と再構築の真っただ中にある。絶対的エースや経験豊富な主力が不在という状況の中で、若手選手たちは貴重な実戦経験を積みながら、着実にステップアップしている。

SNSなどでは、今回の連敗を悲観する声と同時に、「若手が経験を積む良い機会」「ホーバスのチャレンジを支持する」といった前向きな意見も数多く見られる。これは、日本のバスケファンがチームの“プロセス”を共有し、長期的な視野で応援を続けている証でもある。

2025年8月のFIBAアジアカップは、そんなプロセスのひとつの“答え合わせ”となる場だ。ライバル韓国、中国、フィリピンなど強豪がひ