女子日本代表がアジアカップ2025初戦で白星スタート
2025年7月13日、中国・深圳で幕を開けた「FIBA女子アジアカップ2025」。世界ランキング9位の女子日本代表は、初戦で同54位の女子レバノン代表と対戦し、72-68で勝利。2大会ぶりの王座奪還に向けて白星発進を果たした。
ただし、格下と目されていたレバノン相手に苦戦を強いられたこの試合は、終始アップダウンの激しい展開となり、最終盤まで手に汗握る内容だった。
日本代表にとっては課題と希望の両方が見えた初戦。中でも、FIBA公式戦初出場となった薮未奈海(デンソー)が19得点のチーム最多得点を記録し、存在感を発揮したことが最大の収穫となった。
第1クォーターでまさかの10点ビハインド、日本は劣勢からスタート
試合の立ち上がり、日本は連続失点でスタート。ファウルトラブルに陥ったことで守備のバランスが崩れ、レバノンに0-10のランを許す苦しい時間帯を迎える。
2分過ぎ、田中こころ(ENEOS)が3ポイントを決めて日本初得点を記録。その後、渡嘉敷来夢(アイシン)や馬瓜ステファニー(スペイン/カサデモント・サラゴサ)の得点で一時リードを奪うが、守備の脆さが露呈し、16-26と10点のビハインドで第1Qを終えた。
第2クォーターで反撃、薮未奈海が要所で得点を重ねる
続く第2Qは、宮澤夕貴(富士通)のスリーポイントで反撃の狼煙を上げると、今野紀花(デンソー)のドライブや高田真希(デンソー)、馬瓜、薮の3連続3Pなどで一気に同点に追いつく。
田中の得点で逆転するも、再びリードを許すシーソーゲームに突入。終盤には薮と東藤なな子(トヨタ紡織)の連続スリーポイントが決まり、ハーフタイム時点で44-41とリードを奪い返した。
このクォーターだけで28得点と、攻撃の流れを掴んだ日本は、テンポの速いオフェンスで試合を盛り返した。
第3Q~終盤は接戦、薮の勝負強さが光る
第3クォーターでも星杏璃(ENEOS)がスリーポイントを決めるなど得点は重ねたが、レバノンの粘り強いディフェンスに苦戦。川井麻衣(デンソー)や栗林未和(東京羽田)らベンチメンバーも貢献し、56-50と6点リードで最終クォーターへ。
第4クォーターは開始から4分47秒で1点差まで詰め寄られる展開に。ここで頼もしかったのが薮だった。フリースローを2本沈めると、鋭いドライブからレイアップ、さらに5本目となる3ポイントを沈める勝負強さを発揮。
終盤に再びレバノンが猛追して2点差に迫るも、日本は集中力を切らさず、最終スコア72-68で辛勝となった。
全選手起用で層の厚さを確認、新戦力が活躍
この試合では日本代表全選手が出場。ベテランから若手まで幅広くローテーションが組まれ、今後の試合を見据えたテスト的な側面もあったと考えられる。
中でも、薮未奈海はFIBA公式大会初選出にもかかわらず、19得点をマーク。3ポイントシュートは5本中5本成功という完璧なスタッツで、日本の攻撃を牽引した。
また、初代表の田中こころも11得点と堂々のデビューを果たし、これまで代表を支えてきた髙田や渡嘉敷といった中核選手との連携も良好。GL3x3的観点からも、スキルとフィジカルを兼ね備えた次世代ウィングとして注目される存在だ。
女子代表が目指す“王座奪還”への課題とは?
苦戦を強いられたとはいえ、内容を見ると要所でのシュート精度、ターンオーバー、ファウル管理など細かな修正点が浮き彫りになった。特に立ち上がりのディフェンスとリズムの作り方は、強豪との対戦時に命取りとなりかねない要素だ。
しかしながら、ハーフタイムから後半にかけての修正力や、若手の躍動ぶりは今大会における明るい材料。髙田、渡嘉敷といった実績あるベテランがチームを支えつつ、新戦力が台頭する構図は、日本女子代表が再びアジアの頂点を目指す上での理想形だろう。
次戦の相手はフィリピン、さらなる完成度が求められる
第2戦では、FIBAランキング44位のフィリピンと対戦予定。初戦で見えた課題をいかに修正できるか、そして再び薮や田中といった新戦力が継続的に活躍できるかが注目される。
フィリピンは3×3でも活躍する選手が多く、スピードとアウトサイド主体のバスケで知られる。GL3x3的視点では、スイッチディフェンスや1on1の攻防が試合のカギを握る要素となるだろう。
まとめ:若手の台頭と勝負強さでつかんだ大きな1勝
格下相手に苦しんだものの、結果として“勝ち切れた”ことが日本代表にとって何よりの収穫だった。若手の成長とベテランの支えが融合しつつある現在、チームは新たなフェーズに入っている。
薮未奈海の爆発的なスリーポイントや、田中こころの冷静な判断力は、今後の日本代表を象徴する存在となる可能性を秘めており、GL3x3でも注目すべき若手プレーヤーとして評価できる。
王座奪還という大きな目標へ向けて、日本女子代表はこの1勝を土台にさらなる飛躍を目指す。