金沢学院大附が創部4年で全中初制覇──伝統校を破った新鋭が全国の頂点に
2025年8月24日、鹿児島県で開催された「第55回 全国中学校バスケットボール大会(全中)」男子の部において、石川県代表・金沢学院大学附属中学校(以下、金沢学院大附)が創部わずか4年で全国初優勝を成し遂げるという歴史的快挙を達成しました。
中学バスケ界では“四日市メリノール学院”や“京都精華学園”などの名門校が長年にわたって全国を席巻してきましたが、今回の大会は「伝統を打ち破る力」と「チームビルディングの新たな可能性」が強く感じられる結果となりました。
金沢学院大附の全中制覇は、中学バスケの地図を塗り替えるだけでなく、育成・組織の在り方にも一石を投じるものです。
決勝:粘る梅丘を振り切り、堂々の15点差勝利
決勝の相手は、東京都代表・世田谷区立梅丘中学校。都内の公立中学校ながらも、予選を勝ち抜いて決勝進出を果たした実力派チームです。
試合序盤は両チームともに緊張感から動きが硬く、ロースコアの立ち上がりとなりましたが、第2クォーターに入って金沢学院が一気に加速。連続得点で流れを掴むと、前半終了時点で28–17と11点リードを奪取しました。
後半は第3クォーターにさらに攻勢を強め、スコアを51–30に。最後は梅丘の粘りを封じつつ、58–43と15点差で試合を締めくくりました。大会を通じて磨かれた守備とトランジションの精度が、最後まで光った一戦となりました。
準決勝①:梅丘が名門・京都精華に逆転勝利
梅丘中は準決勝で全国常連の京都精華学園中学校と対戦。前半は36–36と互角の展開を見せ、第3Qでは京都精華が主導権を握りましたが、第4Qで梅丘が驚異の追い上げを見せて逆転に成功。最終スコア69–65で勝利を収め、東京都公立校としては異例の決勝進出を果たしました。
この試合では、野呂田桜輔が28得点9リバウンドの大暴れを見せ、鈴木志門も19得点で勝利に大きく貢献。一方、京都精華は岡修平が20得点8リバウンドと奮闘しましたが、惜しくも及びませんでした。
準決勝②:王者・四日市メリノールを完封に近い形で撃破
もう一方の準決勝は、金沢学院大附と三重県の四日市メリノール学院との一戦。相手は全中4連覇中の絶対王者であり、誰もが金沢学院の苦戦を予想していました。
しかし、金沢学院は序盤から主導権を握り、特に第2クォーターでは19–2と圧巻のディフェンスを披露。前半を39–14と大差で折り返すと、後半も安定した試合運びを見せ、最終スコア62–41と21点差の快勝で王者を撃破しました。
注目選手は矢作拓真。この試合で19得点10リバウンドのダブルダブルを記録し、攻守にわたって存在感を発揮。4連覇中の巨壁を打ち砕く立役者となりました。
“育成の勝利”が見えた金沢学院の台頭
金沢学院大附は創部4年目のチーム。にもかかわらず、ここまでの急成長を遂げた背景には、「育成重視」と「チームカルチャーの徹底」があります。
石川県内でもジュニア育成に注力している金沢学院グループは、小学生年代から一貫した指導体制を敷き、スキルだけでなくチームとしての戦術理解・メンタル構築にも注力。さらに、「走る」「守る」「チームで崩す」といった基礎に忠実なバスケスタイルが、大舞台での安定感を支えていました。
GL3x3への示唆:地方からの挑戦がバスケの景色を変える
金沢学院大附の躍進は、GL3x3が目指す「地域から全国・世界へ」のビジョンとも重なります。地方発のチームが短期間で日本一に駆け上がる──その成功モデルは、3×3バスケにおける「地域クラブの躍進」や「多様な育成ルートの提示」にもつながるでしょう。
中学・高校・大学・3×3・Bリーグという“多層構造”の中で、ローカルチームが持つ可能性を最大化する施策が今後ますます重要になります。
今後への期待:中学バスケの“民主化”が進むか
今回の全中は、優勝した金沢学院大附に加え、梅丘中のような公立校も台頭。これにより、「名門私学だけが勝つ時代」から、「どの学校にもチャンスがある時代」へと変わりつつあることを証明しました。
GL3x3や地域バスケ界でも、こうした流れを受けて「育成」「地域連携」「競技のオープン化」に取り組むことが重要です。
まとめ:金沢学院大附が切り開いた“新時代”の始まり
金沢学院大附は、創部わずか4年というスピードで中学バスケの頂点に立ちました。その裏には、戦術理解・個人技・組織力・精神力のすべてを磨き上げた“育成力”があったと言えるでしょう。
四日市メリノールの連覇を阻止し、梅丘との決勝でも堂々の勝利を収めた彼らの物語は、「強さは伝統ではなく積み重ねで創れる」ことを証明しました。
中学バスケ界に新風を巻き起こした金沢学院大附。彼らが切り拓いた道の先には、全国の挑戦者たちの未来が続いていくに違いありません。