長谷川誠氏、SSのテクニカルディレクターに就任──「世界一」を見据えた新プロクラブの船出
2025年7月9日、日本バスケットボール界に新たなニュースが飛び込んだ。SS株式会社(本社:千葉県我孫子市)は、同社が運営する新プロバスケットボールクラブのテクニカルディレクターに、元日本代表であり3×3日本代表前ヘッドコーチの長谷川誠氏が就任したことを発表した。これにより、SSは2025-26シーズンからの3×3国内主要リーグ参入に向けて本格始動し、“世界一”という大きなビジョンへ向けて大きな一歩を踏み出す。
日本バスケ界の生けるレジェンド、長谷川誠とは
秋田県出身の長谷川誠氏は、バスケットボールの名門・能代工業高校にて1年生から全国大会に出場。3年時にはインターハイ制覇を成し遂げ、日本大学では大学3冠を達成。実業団では新人王とMVPを獲得し、2000年には日本人初の海外プロ選手(米ABAサンディエゴ・ワイルドファイヤ)となった。
その後、bjリーグ発足に際して新潟アルビレックスBBに加入。プレーイングマネージャーとして歴史を作り、現役引退後は秋田ノーザンハピネッツのテクニカルディレクター、ヘッドコーチを歴任。近年では2023年に3×3日本代表のヘッドコーチを務め、アジアカップやワールドツアーでの実績を残した。
SSの挑戦:「こころ、おどる」を理念に掲げる異色のプロクラブ
SS株式会社は、「こころ、おどる」をキーワードに、子どもたちに夢と希望を届けるスポーツコンテンツを提供してきた企業だ。2025-26シーズンからは本格的に3×3国内主要リーグへ参入予定。単なるクラブ活動にとどまらず、「世界一を目指す」ビジョンを掲げ、グローバル展開と次世代育成、エンタメ融合を視野に入れている。
その最初のピースとして、実績・知名度・戦略性を兼ね備えた長谷川氏の起用は、クラブとしての覚悟と本気度を世に示す重要なメッセージとなった。
SS代表・関口サムエル氏のコメントににじむ期待と信頼
SS株式会社 代表取締役の関口サムエル氏は、今回の就任発表にあたって以下のようにコメントしている:
「長谷川さんは、国内外での圧倒的な実績だけでなく、3×3日本代表の指導を通じて世界のトップレベルを知り尽くした方です。そんな方がSSに加わってくださることは、私たちにとってこれ以上ないほど心強く、大きな後押しになります」
関口氏と長谷川氏はBリーグ時代からの旧知の仲。過去に共に挑戦した経験を踏まえたうえで、「世界一を目指す」という高い理想を共有できるパートナーとして再びタッグを組むかたちとなった。
3×3日本代表で培った「世界基準の戦術眼」
長谷川氏が率いた3×3日本代表は、2023年にアジアカップでの快進撃を演じ、世界ランキング上昇の礎を築いた。世界のトップ勢と渡り合うには、「状況判断の速さ」「身体的強度への対応」「ミスマッチ活用」など、5人制以上に複雑な知見が求められる。
そのノウハウをクラブ運営に反映できる人物は限られている中で、実際に日本代表を率いた長谷川氏の加入は、選手育成やスカウティング面でも大きなアドバンテージとなる。
SSが目指すのは単なる勝利ではない──「世界一」の意味とは
関口代表が掲げる「世界一を目指す」というビジョンは、単に3×3の大会で優勝することだけを指していない。そこには以下のような複合的な要素が含まれている:
- 競技力の向上と結果による証明(例:FIBA World Tour制覇)
- 地域貢献と社会的意義の発信(例:ユース育成や教育連携)
- デジタル×エンタメ×スポーツの融合型コンテンツ発信
- “観客の心を動かす”興行演出
つまり、世界一というのは「トロフィー」だけでなく、スポーツの力を最大限活用し、「社会を動かす影響力を持つ存在」となることを意味している。
今後の注目ポイント:チーム体制、選手獲得、国内参入リーグは?
現時点でSSのチーム名称や所属選手は明らかにされていないが、以下のような注目ポイントがある:
- どのリーグに参入するのか:国内3×3には3×3.EXE PREMIER、JAPAN TOUR、B3x3など複数のトップリーグが存在
- 選手構成:3×3日本代表経験者や海外帰りの即戦力が名を連ねる可能性も
- ユース育成:次世代3×3選手の登竜門となる育成制度の創設にも注目
- パートナー戦略:グローバルブランドや地域企業との連携による「地域×世界」のモデルづくり
過去の事例に見る「指導者起用による成功パターン」
日本バスケ界では、クラブ創設時にレジェンド級指導者を招聘する事例が増えている。例として:
- アルバルク東京:ルカ・パヴィチェヴィッチ体制で一気に強豪化
- 琉球ゴールデンキングスU18:浜口炎氏が育成部門を強化
こうした成功事例に倣う形で、SSも長谷川氏を軸に据えることで、短期的な成果と中長期のブランド構築を両立させようとしている。
まとめ:長谷川誠×SS、3×3バスケ新時代の扉を開く
SSのテクニカルディレクターに就任した長谷川誠氏は、日本のバスケットボールの礎を築いた人物であり、その実績と戦術眼は今なお一線級だ。彼の経験と、SSの「世界一を目指す」という壮大なビジョンが合わさることで、日本の3×3バスケは新たなフェーズに突入する。
2025-26シーズンはその幕開けとなる。果たして、SSがどのようなチームを作り、どのリーグで、どんな旋風を巻き起こすのか──そのすべてが、今から楽しみでならない。