2025年7月8日(現地時間7日)、インディアナ・ペイサーズの球団幹部ケビン・プリチャードがメディア対応の場で、フランチャイズのエースであるタイリース・ハリバートンが2025-26シーズンを全休することを明らかにした。理由は、NBAファイナル2025第7戦で負った右アキレス腱の断裂であり、すでに修復手術は成功しているという。
歴史に残る激戦の果てに…ファイナル第7戦での悲劇
インディアナ・ペイサーズは、2024-25シーズンをイースタン・カンファレンス4位の好成績(50勝32敗)で終え、「NBAプレーオフ2025」を勝ち上がって球団史上初となるNBAファイナルへと駒を進めた。対戦相手は西の強豪オクラホマシティ・サンダー。シリーズは最終第7戦にもつれ込み、まさに歴史的なシリーズとなった。
だが、その頂上決戦で起きたのがハリバートンの悲劇だった。2025年6月23日に行われた第7戦、ペイサーズの司令塔は試合中に右足を痛めて途中退場。その後、右アキレス腱断裂と診断され、即時に手術を受けることとなった。
プリチャード球団代表の発言:「来季の出場はない」
ペイサーズのバスケットボール運営部代表であるケビン・プリチャードは、現地メディアとの会見でハリバートンの今後についてこう語った。
「手術はうまくいきました。ただし、彼は来年プレーしません。我々は、(無理に復帰させて)危険にさらすことはありません。ですので、彼が復帰すると期待しないでください。私は彼がこれまでよりも良くなって戻ってくると確信しています」
この発言により、2025-26シーズンのハリバートンの全休が正式に決定。若き司令塔を欠くシーズンが、チームにとっていかに過酷なものになるかは想像に難くない。
ハリバートンとは何者か:若くしてリーグ屈指のPGへ
タイリース・ハリバートンは2000年2月29日生まれ、アイオワ州出身。2020年のNBAドラフトでサクラメント・キングスから全体12位指名を受け、ルーキーイヤーから高いバスケIQとプレーメイキング能力で注目を集めた。
その後、2022年にペイサーズにトレードで加入。以降は不動のポイントガードとして君臨し、2023-24シーズンから2年連続でNBAオールスターに選出。2024-25シーズンは平均20.8得点、10.5アシストを記録し、アシスト王争いでも上位に食い込むなど、リーグ屈指の司令塔として地位を確立していた。
復帰までのスケジュールとアキレス腱断裂の重さ
アキレス腱断裂はバスケットボール選手にとって最も重いケガの一つとされており、復帰には通常12ヶ月以上を要する。完全復活に向けたリハビリは長期戦となり、プレースタイルに大きな影響を与えることも少なくない。
過去にも、コービー・ブライアント、ケビン・デュラント、クレイ・トンプソンといったスター選手たちがアキレス腱断裂から復帰しているが、いずれも長期離脱と慎重なリカバリーが求められていた。
ハリバートン不在のペイサーズ、どう戦う?
司令塔を欠く2025-26シーズン、ペイサーズはアンドリュー・ネムハードやTJ・マッコネルを軸としたガードローテーションで戦うことになる。加えて、スコアリング面ではベネディクト・マサリンやオビ・トッピン、パスカル・シアカムといった実力者たちがどこまで貢献できるかが鍵となる。
また、プリチャード球団代表は、センターのマイルズ・ターナーがバックスへ移籍したことを受け、メンフィス・グリズリーズからジェイ・ハフを獲得。さらに、トロント・ラプターズからジェームズ・ワイズマンの再契約にも動いていると発言しており、ロスター全体の再構築が進行している。
フランチャイズの未来とハリバートンの存在感
インディアナ・ペイサーズにとって、ハリバートンは単なる司令塔ではなく、「チームの未来そのもの」といえる存在だった。彼のパスでチームが機能し、彼の決断で試合が動く。その中心選手を失うという事実は、戦力面はもちろん、精神面でも大きなダメージをもたらす。
それでも、球団としては「健康な状態で戻す」ことを最優先とし、長期的視点で復帰を支える姿勢を打ち出している。この姿勢は、近年のNBAにおいて一般的になりつつある「選手の健康第一」の潮流とも一致している。
ファンとリーグの反応:「早く元気な姿を見たい」
SNS上では、NBAファンから「ゆっくり治して戻ってきてほしい」「ハリバートンのないペイサーズは考えられない」といった温かいコメントが多数投稿されている。オクラホマシティ・サンダーのシェイ・ギルジャス=アレクサンダーも「彼の早い復帰を祈っている」とメッセージを寄せた。
リーグ内でも、若手ポイントガードとして最も完成度の高い選手と評価されていたハリバートンの離脱は衝撃であり、その復帰時期と状態はリーグ全体にとっても大きな関心事となっている。
まとめ:待たれる復活と、試されるペイサーズの底力
2025-26シーズン、ペイサーズはエース不在という難局に立ち向かう。だが、チームは若く、昨季ファイナル進出という成功体験もある。ここからもう一度地に足をつけ、チームとして成熟することが求められている。
そして何より、タイリース・ハリバートンが再びNBAのコートに戻る日を、多くのファンが心から願っている。彼が完全復活し、再びペイサーズの舵を握る日は、必ずや訪れる。