ウォリアーズが狙うホーフォード獲得案に疑問の声|ベテラン加入でチームは変わるか?
2025年7月、NBAのフリーエージェント市場も佳境を迎えつつある中、ゴールデンステイト・ウォリアーズの補強戦略に注目が集まっている。すでにケボン・ルーニーがニューオーリンズ・ペリカンズへ移籍したことで、フロントコートに大きな空白が生まれたウォリアーズは、ベテランセンターのアル・ホーフォード獲得を検討していると報じられている。
しかし、この補強案に対しては賛否が分かれており、とりわけ元マイアミ・ヒートのユドニス・ハズレムは、「ホーフォードがウォリアーズの課題を解決することはできない」と指摘した。
ルーニー退団と静かなオフ|ウォリアーズの動きは控えめ
ウォリアーズの2025年オフは、例年に比べて静かなものとなっている。ケボン・ルーニーがペリカンズへ移籍した以外は、目立ったフリーエージェントの補強はなく、現在のところはドラフト絡みのトレードが主な動きだ。
チームにはステフィン・カリー、ドレイモンド・グリーン、そして昨シーズン途中から加入したジミー・バトラーの3本柱が健在。また、バディ・ヒールド、モーゼス・ムーディー、ブランディン・ポジェムスキー、トレイス・ジャクソン・デイビス、クインテン・ポストなど、ローテーション候補も揃っている。
それでも、昨季プレーオフではミネソタ・ティンバーウルブズに1勝4敗で敗れた苦い経験がある。カリーのケガによる離脱も響いたが、フィジカルで圧倒されたフロントラインの不安は今も解消されていない。
ベテランビッグマン・ホーフォードの実績と現在地
ウォリアーズが補強候補として検討しているアル・ホーフォードは、NBAキャリア18年を誇る経験豊富なベテランビッグマン。ボストン・セルティックスでの昨季は60試合に出場し、平均27.7分のプレータイムで9.0得点、6.2リバウンド、2.1アシストを記録。さらに、3ポイント成功率は36.3%(平均1.9本成功)と、ストレッチビッグとしても存在感を示した。
206cm・108kgのサイズと高いバスケットIQに加え、フロアスペーシング能力を備えたホーフォードは、ローテーションの要として複数のチームから関心を集めている。ただし、6月に39歳を迎えたベテランがウォリアーズの“今”の課題を解決できるかどうかは疑問視されている。
ハズレムが警告「ホーフォードではフィジカル不足は解消できない」
2025年7月16日、元ヒートのベテランで20年間NBAを戦ったユドニス・ハズレムが『ESPN』の番組「NBA Today」に出演し、ウォリアーズのホーフォード獲得の可能性について語った。
「アル(ホーフォード)は素晴らしい選手だ。人格者であり、チームにポジティブな影響を与えられる。しかし、ウォリアーズが本当に必要としている“長さ”や“運動能力”という点では、彼の加入だけでは課題の本質を解決することはできない」
ハズレムはさらに続けて、「彼がステフ(カリー)とともにキャリアを終えること自体は良い話だし、フロアのスペースを広げ、スリーを決めてくれるだろう。でも、それがこのチームの必要としていることと合致しているとは言えない」と語り、冷静に懸念を示した。
ティンバーウルブズ戦で露呈した「フィジカルの壁」
ウォリアーズが直近で直面した課題のひとつが、フロントラインでのフィジカル差だった。2025年プレーオフで対戦したミネソタ・ティンバーウルブズは、ルディ・ゴベア、ジュリアス・ランドル、ナズ・リードという屈強なフロントコート陣を擁しており、リバウンドやペイント内の攻防で圧倒された。
このシリーズでは、ドレイモンド・グリーンや若手のジャクソン・デイビス、ポジェムスキーらが奮闘したものの、サイズとパワーの面で大きく劣勢に立たされた。特にルーニーの不在が大きく、フィジカルの穴埋めは急務となっている。
そのため、たとえホーフォードを獲得できたとしても、彼の年齢や機動力ではゴベア級のビッグマンとのマッチアップにおいて大きな成果を期待するのは難しいという見方が強まっている。
今後の補強戦略はどうなる?|他のビッグマン候補と市場動向
ウォリアーズが今後狙うべきは、サイズだけでなくスピードやアスレティシズムも兼ね備えたインサイドプレイヤーだとされる。現在フリーエージェント市場には、元アリゾナ大のクリスチャン・コロコや、2024年ドラフト外の若手ビッグマンなどが契約を模索しており、ウォリアーズとしても将来性のあるプレイヤーに目を向ける動きが必要になるだろう。
加えて、バトラーがトレーニングキャンプから合流する今季は、優勝争いへの再挑戦を狙うシーズンでもある。カリーの年齢を考慮すれば、「今勝てるチーム」を編成する必要があり、補強の的確さがそのまま成績に直結する。
SNSとファンの反応|「ホーフォードより若手を」との声も
ホーフォード獲得報道に対して、SNSではファンの間でも議論が巻き起こっている。
「ホーフォードは好きだが、今のウォリアーズには若くてアスレチックなビッグマンが必要」「彼がフロアにいる時間、相手チームにとって脅威になるかは疑問」「ステフにとっては安心材料かもしれないが、課題解決にはならない」というようなコメントが多く見られる。
一方で、「バスケットIQの高いホーフォードが入れば、バトラーやカリーとの連携でチームは引き締まるはず」「若手にとって良いメンターになる」という前向きな意見もある。
結論|ウォリアーズの“次の一手”が問われる夏
39歳のベテラン、アル・ホーフォードがウォリアーズにとって有益な存在となりうることは間違いない。だが、彼が“問題の核心”であるインサイドのフィジカル不足や機動力の欠如を補えるかとなると、懐疑的な声が出るのも無理はない。
ステフィン・カリーを中心に再び優勝戦線を目指すゴールデンステイトにとって、今夏の補強戦略は極めて重要だ。ホーフォードの獲得が実現するにせよ、しないにせよ、彼をどう活用し、どう補完するか。チームの方向性を大きく左右するこの“1ピース”に、全NBAの視線が集まっている。