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狩野富成、日本代表デビュー戦で4ブロック!“新星ビッグマン”が示した圧巻リムプロテクトと成長意欲

狩野富成、A代表デビュー戦で衝撃の4ブロック


2025年7月6日、有明アリーナで開催された「日本生命カップ2025(東京大会)」にて、日本代表はオランダ代表を74−53で下し、東京ラウンドを2連勝で締めくくった。この一戦で鮮烈な印象を残したのが、サンロッカーズ渋谷に所属するビッグマン、狩野富成(23歳)である。

この日がA代表初出場となった狩野は、ベンチスタートながら、わずか14分間の出場で4ブロックという圧巻のリムプロテクションを披露。得点は4にとどまったものの、ジャンプ力と空間認知を活かした守備でチームを支えた。試合後の取材では、「自分にできることを全うする」と語り、等身大の姿勢と今後の飛躍への意欲を見せた。

狩野富成のプロフィールとこれまでのキャリア


狩野富成は2001年生まれ、奈良県出身。高校はバスケットボール強豪の尽誠学園(香川)でプレーし、その後は日本体育大学に進学。大学4年時には関東大学リーグでリバウンド王を獲得するなど、ゴール下の職人として頭角を現した。2024年にBリーグのサンロッカーズ渋谷に加入。ルーキーイヤーながらも、1試合平均2.3ブロックを記録し、「次代のリムプロテクター」として注目を集めていた。

今回のA代表選出は、その実績と成長ポテンシャルを評価された結果といえる。特に、代表において3ポイントシュートが苦手でもリム周辺でインパクトを与えられる選手の需要は高く、狩野のような“守備特化型センター”の登場は、日本代表の戦術の幅を広げる重要なピースだ。

オランダ戦での躍動:リムプロテクトの体現

試合では、オランダのフィジカルなフロントラインに対して、狩野が臆することなく跳びはね、終盤には立て続けに2ブロックを記録。特に、第4クォーター残り3分でのブロックは、ゴール下からコーナー3Pをカバーしに行ってのジャンピングブロックであり、ホーバスHCもベンチで思わず立ち上がるほどだった。

本人も試合後、「自分の持ち味であるジャンプ力とリムプロテクションを活かせて楽しかったです」と語り、手応えを感じていた様子。また、「オフェンスでは課題もあるけど、ここから良くしていきたい」と成長意欲を見せ、真摯に課題と向き合っている姿が印象的だった。

代表チーム内の競争とロールプレイヤーとしての価値


現在の日本代表では、ビッグマンのポジション争いが熾烈を極めている。川真田紘也(滋賀レイクス)、井上宗一郎(サンロッカーズ渋谷)、シェーファーアヴィ幸樹(名古屋D)などが名を連ねるなかで、狩野は「一番のライバルは川真田選手」と名指しで語る。

「ジャンプ力とリムプロテクトでは勝てると思っている」と自信をのぞかせる一方、「僕は3ポイントがないビッグマン。でも、カッティングやディフェンスでは負けたくない」と自身の役割を明確に認識している。

ホーバスHCが求めるのは、“個人スキルの多様性”と“チーム内での明確な役割遂行”。その意味で、狩野は“できることに特化したロールプレイヤー”として、国際大会でも使いやすいタイプの選手と言える。

成長の鍵はオフェンス面での進化

本人も言及したように、課題はオフェンスにある。スクリーンの精度、ポジショニング、ダイブタイミングの理解、パスキャッチ後の展開力など、現時点では未熟な面もあるが、「それでもリム周辺の破壊力を示すプレーは十分にあった」と解説者からも評価された。

また、今後のアジアカップなどの国際大会では、相手チームの守備がゾーン中心になる場面も多いため、アウトサイドのないセンターはスペーシングの観点で不利になりがち。しかし、リムプロテクターとしての守備面で与えるインパクトが攻撃を上回るようであれば、出場時間の確保は現実的だ。

今後の代表日程と狩野への注目

日本代表は今後、以下のスケジュールで試合を予定している:

  • 7月11日・13日:韓国代表(アウェー2連戦)
  • 7月19日・20日:「SoftBank CUP 2025(千葉大会)」 vs デンマーク代表
  • 8月5日〜:「FIBAアジアカップ2025(サウジアラビア)」

アジアカップ2025に向けた最終ロスター争いはすでに始まっており、狩野もその候補のひとりとして位置づけられている。今後の試合でも継続的にブロックや守備での貢献を見せることができれば、ベンチメンバー入り、あるいは試合終盤の守備要員としての起用も十分に考えられる。

ファン・メディアの反応:「守備職人の登場」

SNSでは「狩野のブロック鳥肌!」「3ポイントなくても使えるビッグマン」「ホーバスが望んでたのってこのタイプかも」といったポジティブなコメントが相次いだ。バスケファンの間でも「日本のミッチェル・ロビンソン」や「Bリーグ版ロバート・ウィリアムズ」といった海外選手との比較も登場しており、デビュー戦での印象の強さがうかがえる。

また、ホーバスHCは試合後の会見で「狩野は自分の役割を理解していた。ブロックだけでなく、スクリーンアウトもよかった」とコメントし、守備面での評価を明言している。

まとめ:狩野富成の「持ち味」にこそ価値がある

代表デビュー戦でいきなり4ブロック。狩野富成が披露したのは、“何か特別な武器を持つ”ことの価値である。得点能力や派手なプレーではなく、「自分にできることをやる」「持ち味を全うする」という姿勢が、日本代表の求める選手像と見事に一致した。

ローテーション争いは激しいが、狩野が今後も守備のインパクトを継続して見せることができれば、アジアカップ本戦での起用も十分に現実味を帯びてくる。GL3x3では、今後も彼の成長と代表チーム内での立ち位置に注目していく。