ゴールデンリーグ3×3は、「スポーツ × エンタメ」の融合を掲げる新感覚リーグです。
今回は、そのスタイルに通じる他の革新的なリーグもあわせてご紹介します。
SlamBallとは?バスケ×トランポリン×コンタクトの新競技
SlamBall(スラムボール)は、バスケットボールをベースにしながら、トランポリン・アメリカンフットボール・ホッケー・体操などの要素を融合したハイブリッド型のスポーツです。
コートには計8面のトランポリンが設置され、選手たちは空中を舞うようにプレー。コンタクトOKのルールにより、ド派手なダンクと激しいぶつかり合いが魅力の一つです。
誕生のきっかけ:映像プロデューサーのアイデアから生まれた
スラムボールは1999年、映画・テレビ業界で働いていたメイソン・ゴードン氏のアイデアから生まれました。
「ゲームのような新スポーツを現実世界で実現したい」という発想から始まり、6カ月後にはロサンゼルスの倉庫にプロトタイプのコートが完成。NBAやストリートバスケ経験者を中心にトライアウトを行い、最初のチーム「ロサンゼルス・ランブル」「シカゴ・モブ」が編成されました。
初期のテレビ放映とブーム
2002年、全米放送のSpike TVで初のレギュラーシーズンがスタート。当初は6チームで構成され、解説には元NBAスターのレジー・セウスが参加。大迫力の空中戦と格闘技のようなフィジカルプレーが話題を呼びました。
その後もアトランタ、ロサンゼルス、ユニバーサル・スタジオ、さらには中国・杭州や北京でも大会が開かれ、国際展開も見られるようになりました。
SlamBall独自ルールの数々
SlamBallのルールは従来のバスケと大きく異なり、以下のような特徴があります。
- 試合は4クォーター制(各5分)で構成
- プレイヤー数は1チーム4人(計8〜10人ロスター)
- 得点は2点(通常シュート)、3点(ダンク)、4点(アーク外シュート)
- シュートは空中でのアクロバティックなプレーが評価されやすい
- トランポリンでの2回ジャンプは反則
- フェイスオフ(1on1)によるファウル処理:観客の注目を集める演出要素
- ディフェンスは接触プレー(チェック・押し出し)が認められる
SlamBall最大の魅力は「空中の攻防」と「合法的なコンタクトプレー」。スピード感と迫力は従来のバスケを超えるダイナミズムを持っています。
3つのポジションと戦略
SlamBallには以下の3ポジションがあり、チームは状況に応じて編成を変えられます。
- ハンドラー(Handler):司令塔としてゲームを組み立てる。バスケでいうPGに相当。
- ガンナー(Gunner):主に得点を狙う選手。空中での身体能力が問われる。
- ストッパー(Stopper):ゴールを守るディフェンスの要。トランポリンでのブロックや接触プレーが中心。
ファウルルールと「フェイスオフ」
ファウルの処理もSlamBall独自です。プレイヤーが3つのパーソナルファウルを犯すと退場となり、悪質な行為にはテクニカルファウルや失格も適用されます。
ファウルが起きた際は、被ファウル選手と犯した選手が1対1の“フェイスオフ”を行い、攻防を通じて得点とボール保持の行方が決定します。この演出は観客にとっても大きな見どころです。
中国での展開(2012〜2016)と国際化の兆し
2012年からは中国市場に進出し、「MSAA(Multinational SlamBall Athletic Association)」が結成されました。杭州、北京、武漢などで開催され、中国チームも登場。
当時のシリーズでは「モブ」や「スラッシャーズ」などの米国チームが優勝するも、中国選手も確実に力をつけていきました。
2023年の復活:ラスベガスからのリブート
長らく休止していたSlamBallは、2023年にラスベガスで復活。シリーズAとして1100万ドルの資金調達に成功し、ESPNとの独占契約も締結されました。
新リーグでは「スラッシャーズ」「モブ」「ランブル」など旧チームに加え、「ラヴァ」「グリフォン」「バズソー」「オゾン」などの新チームが加わり、合計8チームで6週間のリーグ戦+プレーオフが行われました。
2023シーズン主要成績とMVP
- 優勝:モブ(無敗でシーズン制覇)
- MVP・最優秀ディフェンダー:ゲージ・スミス(モブ)
- 得点王:タイ・マギー(ラース)43得点で記録更新
- スラム&ジャム優勝:ブライアン・ベル・アンダーソン(オゾン)
コート・設備・ユニフォーム
SlamBallコートには、1辺2.1m×4.3mのトランポリンが各ゴール下に4面ずつ敷かれ、着地の衝撃を吸収するパネルと8フィートの透明壁(ホッケーリンクのような構造)で囲まれています。
選手はひざ・ひじ用のプロテクターを着用し、2023年以降は“スクラムキャップ型ヘルメット”が必須になりました。
ポップカルチャーでのSlamBall
SlamBallは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』で名前が登場したほか、ドラマ『One Tree Hill』ではストーリーに組み込まれるなど、フィクションの中でも人気のある“未来型スポーツ”として知られています。
まとめ:SlamBallが描く未来のスポーツ像
トランポリンとバスケを融合し、フィジカル・エンタメ・アクロバティックな要素を取り入れたSlamBallは、スポーツ界に新たな潮流を生み出しました。
観客を魅了するスピード感、接触プレーの迫力、空中戦の芸術性──SlamBallは「バスケの未来形」とも言える存在です。2023年以降の再始動と世界展開により、今後さらに注目されることは間違いありません。