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デイミアン・リラード、トレイルブレイザーズと再契約|NBAスターが“第2章”に挑む理由と背景とは

リラードが帰ってきた|ブレイザーズとの3年契約で“第2章”が始動


2025年7月17日(米国時間)、NBAのスターガード、デイミアン・リラードが、かつてキャリア最初の11年間を過ごしたポートランド・トレイルブレイザーズと再び契約を交わしたというニュースが全米を駆け巡った。契約内容は3年4200万ドル(約62億円)で、2027–28シーズンがプレイヤーオプションとなっており、さらにトレード拒否権も盛り込まれている。これは現役NBA選手の中でもレブロン・ジェームズとリラードの2人のみが持つ特権であり、彼にとってこの契約がいかに特別であるかを物語っている。

怪我と手術、そして決断:バックス時代の終焉

リラードは2023年にブレイザーズからミルウォーキー・バックスへ移籍し、ヤニス・アデトクンボとのスーパーデュオとして注目を集めた。しかしバックスでの2年間は、思うような結果を残すことができなかった。

さらに2025年プレーオフ1回戦では、左足のアキレス腱を断裂。5月に手術を受け、シーズン残りを欠場することとなった。34歳という年齢を考えると、この大怪我はキャリアの転機であり、リハビリとその後の復帰に対する慎重な判断が求められた。

その後、7月7日にバックスとのバイアウトが成立。リラードは残りの契約金、約1億1300万ドル(約167億円)を今後5年間で分割して受け取る形となり、完全FA(フリーエージェント)として市場に出ることとなった。

家族と共に過ごす時間、そして「ホーム」への想い


リラードがポートランドを「ホーム」と呼ぶのには理由がある。彼の家族、特に子どもたちが今もポートランドで生活しており、地元コミュニティとも深いつながりを持っている。彼はかつて「自分のバスケットボール人生はポートランドと共にあった」と語っていたほどで、その帰還は感情的な意味でも極めて大きなものである。

今回の再契約について、リラード自身はSNS上にブレイザーズのロッカールームの動画を投稿。ロッカーには現役選手たちの名前が並ぶ中、自身の名前が刻まれたロッカーが映し出された。この映像は瞬く間に拡散され、ファンやメディアから大きな反響を呼んだ。

チーム再建とリラードの役割

ポートランド・トレイルブレイザーズは現在、若手中心の再建期に突入しており、シャーデン・シャープ、スクート・ヘンダーソンといった新星たちが台頭してきている。そうした中でのリラード復帰は、単なる“感情的再会”に留まらない。彼の存在は、チームの精神的支柱としても、若手育成のロールモデルとしても、極めて重要な意味を持つ。

また、2023年の3チーム間トレードでバックスに移籍したリラードの見返りとして、ブレイザーズにはドリュー・ホリデーやディアンドレ・エイトンが加入。その後ホリデーはセルティックスに移籍したものの、今オフにブレイザーズへ復帰し、東京五輪で共に金メダルを獲得したリラードと再びチームメイトとなる。

リラードとホリデーという経験豊富なベテランが同時に在籍することにより、チームの競争力は一段と高まると見られている。

NBA史に残るブレイザーズでの記録

リラードがポートランドで築き上げた記録は、まさにフランチャイズの歴史そのものだ。通算得点1万9376点、3ポイント成功数2387本、フリースロー成功数4427本はすべてチーム最多記録。また、何度も「デイム・タイム」と呼ばれるクラッチタイムに劇的なショットを沈めてきたことで、ファンの記憶に強く刻まれている。

2019年のプレーオフ1回戦での“ウェイブ・バイ・ショット”──サンダー戦でのブザービーター3ポイント──は、今もNBA史に残る名場面として語り継がれている。

他チームのオファーを退けて選んだ「愛着」

今オフ、リラードには複数のNBAチームからオファーが届いていた。いずれもミッドレベル・エクセプション(年収約1300万ドル)あるいは最低保証額での契約であり、特にプレイオフ常連の強豪チームが関心を示していた。

しかしリラードは、復帰後のプレーを家族のそばで行いたいという意思を強く持っていた。また、アキレス腱断裂という重傷を負ったことを考慮すれば、自身のリズムでリハビリができる環境、そしてチームとの信頼関係が重要だった。

その点でポートランド以上に理想的な選択肢はなく、彼にとってブレイザーズとの契約は“第二のキャリアの出発点”となる決断だった。

将来展望:第2幕に期待される役割


今後のリラードの役割は、従来のスコアラーという枠を超えたものになる可能性が高い。リハビリを経て2026年以降に本格復帰する予定であるが、その頃にはブレイザーズの若手たちもさらに成長しているだろう。

彼のバスケットIQとリーダーシップは、選手としての貢献だけでなく、ベンチワークやロッカールームの統率にも発揮されると見られている。NBAにおいて、プレイヤーとしてだけでなくメンターとしての存在価値も高まってきている近年、リラードのような人物は再建中のチームにとって不可欠な資産だ。

メディア・ファンの反応とポートランドの熱狂

リラードの復帰は瞬く間にバスケットボールファンの間で話題となり、SNS上では「Welcome Home, Dame」「Dame Time is back」のハッシュタグがトレンド入りした。現地ポートランドでは、リラードの復帰を祝うファンイベントも計画されており、彼の影響力が地域コミュニティに根付いていることを示している。

地元紙『The Oregonian』も「これは単なる再契約ではなく、ポートランドの希望の灯が戻ってきた瞬間だ」と報じるなど、リラードの存在がどれほど大きなものであるかが浮き彫りになった。

元ドラフト1位エイトンがFA市場へ!ブレイザーズと決別し新天地を模索

元ドラフト全体1位、エイトンがFA市場に登場

2024年6月30日(現地時間29日)、ディアンドレ・エイトンが所属していたポートランド・トレイルブレイザーズとの契約をバイアウト(買い取り)で合意し、完全FA(フリーエージェント)として市場に出ることが『ESPN』によって報じられた。

この動きにより、来月27歳の誕生日を迎えるエイトンは、新たな所属先を自由に選択できる立場となる。

2018年NBAドラフト全体1位指名の実力者

エイトンは213cm・113kgのサイズを誇るセンターで、2018年のNBAドラフトにおいてフェニックス・サンズから全体1位で指名された実績を持つビッグマン。パワーとスキルのバランスに優れ、NBA入り当初から即戦力として評価されていた。

サンズでは主力としてプレーし続け、NBAファイナル進出にも大きく貢献。その後、2023年にブレイザーズへと移籍し、若手主体の再建チームの中でリーダーとしての役割を担っていた。

2024シーズンは故障に泣くも安定の成績

今シーズンのエイトンは、左ふくらはぎの肉離れによって2月中旬から長期離脱を余儀なくされ、レギュラーシーズン40試合の出場にとどまった。しかし、その40試合すべてで先発出場を果たし、以下の安定したスタッツを記録している:

  • 平均出場時間:30.2分
  • 平均得点:14.4点
  • 平均リバウンド:10.2本
  • 平均アシスト:1.6本
  • 平均ブロック:1.0本
  • FG成功率:56.6%

特筆すべきは、NBAデビューから7年連続で「平均ダブルダブル」を達成している点で、これはドワイト・ハワード以来の快挙。出場数の制限がある中でも、高いパフォーマンスを維持したことはFA市場でも高く評価されるだろう。

バイアウトにより高額契約解除、年俸約51億円

エイトンは現在、残り1年・約3555万ドル(約51億円)の契約をブレイザーズと結んでいた。しかし今回、両者合意のもとバイアウトが成立。これによりサラリーキャップの柔軟性を獲得したブレイザーズは若手中心の育成路線へと舵を切った形となる。

エイトンにとっても、プレータイムや役割、優勝争いに関与できる環境を求めてのFA入りと見られている。

ブレイザーズのセンター陣と世代交代

エイトン退団後、ポートランドには以下のビッグマンたちが控えている:

  • ドノバン・クリンガン:ルーキーながら先発へ昇格
  • ロバート・ウィリアムズ3世:リムプロテクターとして高評価
  • デュオップ・リース:インサイドのバックアップ
  • ヤン・ハンセン:中国出身のビッグマン、メンフィスからトレード加入

このラインナップからも明らかなように、ブレイザーズは世代交代を進めつつある。若手を中心とした新体制の中で、ベテランのエイトンが退団するのは自然な流れと言える。

注目のFA市場、新天地はどこに?

FA市場に名を連ねたエイトンには、即戦力センターを求める複数チームが関心を示すと予想される。特にリバウンドやペイント内での得点力、スクリーンプレーにおいて貢献度が高い彼は、優勝候補チームにとって貴重なピースとなる可能性がある。

現時点では去就先の情報は明らかになっていないが、プレーオフ常連チームやインサイドに不安を抱えるチームにとっては魅力的な補強ターゲットになることは間違いない。

2018年のドラフト全体1位として期待を背負い続けてきたディアンドレ・エイトン。次なる舞台で、彼がどのような存在感を示すのか注目が集まる。