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仙台AIR JOKER.EXEの歩みと現在地|東北初の3×3プロチームが挑む仙台から全国へ挑むクラブの物語


チーム名:SENDAI AIRJOKER.EXE
ヨミ:センダイ エアジョカー エグゼ
本拠地:宮城県仙台市
チームカラー:緑

仙台から誕生した東北初の3×3プロチーム


3人制バスケットボール「3×3」は、東京オリンピックで正式種目に採用されて以降、世界的にも注目を集めている競技だ。その国内最高峰リーグである「3×3.EXE PREMIER」に、2018年に東北地方から初参入したのが「SENDAI AIR JOKER.EXE(センダイ エアジョカー エグゼ)」である。

チームの拠点は宮城県仙台市。チームカラーは緑、スローガンは「再建」。創設期から単なるプロスポーツチームに留まらず、地域の人々や企業と連携し、仙台を拠点にしたスポーツエンターテインメントの象徴として活動を続けてきた。

2018年の始まり|発表イベントと地域密着の姿勢

参入初年度の2018年5月には「選手発表記者会見イベント」を開催。会場ではバスケットボールの記者会見だけでなく、チアリーディングやダンススクールの発表、スケートボード体験なども組み込まれ、地域住民が楽しめる複合的な催しとして実施された。入場は無料で、スポーツとカルチャーを融合させた“地域型エンタメ”の先駆けとなった。

この姿勢は現在まで続いており、チームはバスケットボールクリニックや地域イベントへの参加を通じて、子どもから大人まで幅広い世代と接点を持ち続けている。

歴代ロスターとチームの成長

SENDAI AIR JOKER.EXEは、これまで多くの選手が所属しチームを支えてきた。2018年のロスターには宮坂侑、渡部宏斗、佐々木瑛らが名を連ね、東北初の挑戦を牽引。翌2019年には阿部翔太や江田健人ら新戦力も加わり、体制を拡充していった。

その後もロスターは入れ替わりながら進化を続け、2020年代に入るとベテランと若手の融合が進む。特に1981年生まれの永田晃司は、経験豊富なリーダーとして存在感を発揮。さらに、2000年代生まれの高橋秀宇、加藤陽貴、今井弘己といったU24世代も台頭し、次世代を担う布陣を形成している。

2023年には仙台大学男子バスケットボール部の新保圭都がU24契約を締結。プロの舞台で初得点をマークするなど、大学バスケと3×3の架け橋となった。こうした若手の登用は、クラブが掲げる「再建」のビジョンに直結している。

高濱拓矢の加入と戦力補強

近年の話題としては、熊本県出身の高濱拓矢(背番号12)が加入したことが挙げられる。身長184cm、体重82kgのバランス型プレーヤーで、勝利にこだわる姿勢を示している。若手育成に加え、実績ある選手の獲得による即戦力補強も並行して進めることで、チームは成長曲線を描こうとしている。

ロゴ刷新と仙台らしさの強調

2023年にはチームロゴが刷新され、従来の「ジョーカー」モチーフから「伊達政宗をモチーフにしたバスケットボール顔」へと変更された。仙台を象徴する伊達政宗を取り入れることで、地域性とブランドアイデンティティをより強固なものにしている。これは単なるデザイン変更ではなく、クラブが「仙台の代表チーム」としての意識を鮮明に打ち出した出来事でもあった。

スポンサー・賛助会員制度の広がり

SENDAI AIR JOKER.EXEは、地域の企業や個人が参加できる賛助会員制度を設けている。10,000円から100,000円まで複数のコースが用意され、会員は公式サイトへのロゴ掲載や、チームロゴを利用した販促活動が可能だ。こうした取り組みは、クラブを「地域の仲間」として応援できる仕組みを整備するものであり、単なるスポンサー契約とは異なる草の根的な支援文化を生んでいる。

また、ポスター掲出協力企業をSNS上で募集するなど、ファンや地元企業と共にチームを作り上げていく姿勢が特徴的だ。

2025シーズンの挑戦と結果


2025シーズン、SENDAI AIR JOKER.EXEは昨年より高い目標を掲げてスタートした。選手たちは日々練習に励み、「全員で戦い、共に喜びを分かち合う」ことを目指した。

しかし、シーズンを通して予選突破には至らず、最終順位は20位に。Round.8ではMINAKAMI TOWN.EXEに11-21、IKEBUKURO DROPS.EXEに12-21で敗戦し、悔しい結果でシーズンを終えることになった。それでも、選手たちは「声援に支えられ、最後まで戦い抜けた」と感謝を表し、来季への再起を誓った。

今後の展望|「再建」から「飛躍」へ


結果だけを見れば苦しいシーズンではあったが、若手選手の成長、ベテランの経験、地域との連携といった要素は確実にチームの財産となっている。「再建」を掲げるスローガンは、単なる再スタートではなく、未来へ向けた積み重ねを意味する。

今後はU24枠のさらなる活用や、仙台開催イベントの充実、スポンサーシップ拡大などを通じて、クラブの存在感を高めていくことが期待される。3×3はスピード感と個人スキルが際立つ競技であり、AIR JOKER.EXEがどのようにその舞台で躍動するか、注目していきたい。

まとめ|仙台から全国へ挑むクラブの物語

SENDAI AIR JOKER.EXEは、2018年の東北初参入から現在に至るまで、地域と共に歩み続けてきた。参入イベントから始まり、ロゴ刷新、若手育成、スポンサー制度、そして2025シーズンの挑戦。歩んできた道のりには成功と苦難の両方があるが、それらを糧にしてクラブは進化を続けている。

「再建」の言葉の先にあるのは、必ずしも結果だけではない。地域の人々と共に戦い、未来の世代へとバトンを渡すことこそ、SENDAI AIR JOKER.EXEの使命である。仙台発のこのクラブが、今後どのように飛躍を遂げるか、これからの展開に大きな期待が寄せられる。