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篠山竜青×辻直人が語る日本代表の推し選手と課題|アジアカップ直前インタビューで見えた未来の鍵

ABEMA解説者・篠山竜青×辻直人が語る「代表の現在地と未来」

2025年8月に開幕を控える「FIBAアジアカップ2025」。日本代表の選考と強化が着実に進む中、新しい視点から注目を集めているのが「元日本代表コンビ」によるABEMA解説だ。

篠山竜青と辻直人。かつての日本代表の司令塔とシューターコンビが、解説席でも抜群のケミストリーを披露しながら、新生日本代表を鋭く、時にユーモラスに語る。このコンビが日本生命カップ2025・日本代表vsオランダ代表の直前に行ったインタビューでは、解説者としての視点から「日本代表の推し選手」「呼んでほしい未招集選手」「今必要な人材」まで、濃密な見解が飛び出した。

不安と期待が交差した初コンビ解説

篠山と辻が揃って解説に挑んだのは今回が初めて。オファー当初の心境について、辻は「大丈夫かな…と不安の方が大きかった」と振り返り、篠山も「自分たちへのハードルが勝手に上がっていた」と苦笑いしたという。

だが、互いの解説スタイルについてはお互いに称賛。辻は篠山について「聞いていて“そうそう”と納得できる分かりやすさ」、篠山は辻について「IQが高く、ふざけてるように見えて的確」と語り、信頼感がにじみ出る。

両者ともに「選手目線で寄り添う」「現役感覚を伝える」ことを意識しており、彼らならではの立場が、新しい解説スタイルを築いている。

アジアカップ日本代表への期待|“勢い”と“サイズ”が鍵

新生日本代表の選考について、両者は「若返り」「海外組の増加」「勢いのあるBリーガーの抜擢」といったキーワードを挙げる。特に注目されたのは、テーブス海の弟であるテーブス流河や、かつて明成高校で話題を集めた山﨑一渉などの新顔だ。

辻は「“こんな選手いたのか”と驚くほどバリエーション豊か」と称賛。篠山も「B2の中村太地選手のように、カテゴリー関係なく“勢い”で選ばれているのが面白い」と語った。

また、近年は日本代表の課題とされてきた「サイズ不足」についても改善が見られ、トム・ホーバスHCのバスケットを遂行できるメンバーが揃ってきていると評価する。

“未招集の逸材”たち|2人の解説者が本気で推す候補選手とは

──もし、今の代表に“呼んでほしい”と思う未招集選手は?
この質問に対し、両者からは以下の名前が挙がった。

  • 米須玲音(川崎)…「パスセンスは抜群。司令塔としての成長が楽しみ」(篠山)
  • 山内ジャヘル琉人(川崎)…「身体能力と1on1のディフェンス力が高く、外国籍選手にも対応できる」(篠山)
  • 脇真大(琉球)…「Bリーグファイナルでの爆発力。外角精度が高まれば代表向き」(辻)
  • 小川敦也(宇都宮)…「ドライブでペイントタッチを作れるクリエイター。国際舞台で見たい逸材」(辻)

なかでも小川は、篠山・辻の両者が「絶対に代表で試してほしい」と意見が一致。高さ、ドライブ力、プレーメイク能力のバランスにおいて、「日本代表に新しい風を吹かせる存在」として高評価を得ている。

今の代表に“必要な人材”とは?ハンドラー&ビッグマンが急務

ポジション的な課題について問われた際、両者の見解は一致した。「必要なのはハンドラーとビッグマン」ときっぱり。

篠山は「河村勇輝がメインハンドラーとして定着しつつあるが、逆サイドにももう1人起点を作れる選手が必要」と説明。また、ジョシュ・ホーキンソンが38分以上出場している現状を危惧し、「日本人ビッグマンの台頭が急務」と語る。

辻も同意しつつ、新たに代表に加わった狩野富成(長崎)のフィジカルに驚きを示す。「金髪にしたら川真田選手と間違えるくらい体格が似てる(笑)。そんな選手がいたことにもびっくり」と語り、今後の台頭に期待を寄せた。

アジアカップを“強化の場”と捉える2人のリアルな視点

アジアカップは、日本代表にとって「結果を求められる大会」であると同時に、「新戦力発掘の場」でもある。この点について、2人はともに「今後に向けた“トライアウト”的意味合いが強い」と分析する。

篠山は「代表入りを目指す若手たちが公式戦で経験を積む機会は大きい」とし、結果よりも成長と経験値を重視するスタンスを示した。辻も「新戦力の“試験的起用”の場として非常に貴重」とコメントし、結果と育成のバランスを重要視している。

まとめ|元代表だからこそ語れる、現代表へのリアルな“愛”と“希望”

今回のインタビューは、元代表選手という立場から、現日本代表の未来を真剣に見つめる“バスケ愛”にあふれた内容となった。篠山竜青と辻直人がABEMA解説者として担う役割は、単なるマイク越しの仕事ではなく、次世代への「継承」とも言えるだろう。

推し選手の紹介だけでなく、「なぜ今このタイプが必要なのか?」「この選手はどこでフィットするのか?」といった視点は、現役プレイヤー/OBだからこそ語れる貴重な知見だ。

アジアカップ2025、そしてその先のFIBAワールドカップやオリンピックに向けて──
「バスケ解説」が“バスケ文化”を育てる時代が、いま始まっている。

能登に笑顔と希望を──篠山竜青らがバスケで届けた「88 SMILE in Noto」の挑戦

バスケの力で被災地に笑顔を――「88 SMILE in Noto」が石川県輪島市で開催

2025年6月28日、石川県輪島市の日本航空高等学校石川にて、特別な復興支援イベント「88 SMILE in Noto」が開催された。主催者は、川崎ブレイブサンダース所属の篠山竜青、ベルテックス静岡の橋本竜馬、そして元横浜ビー・コルセアーズの湊谷安玲久司朱。彼らが所属する団体「88 Basketball」が企画し、能登半島地震の被災地に笑顔と希望を届けるために実施されたプロジェクトだ。

この取り組みは、単なる慰問や訪問にとどまらず、現地の子どもたちと「リアルな交流」を通じて心の復興を目指すものであり、今後の地域との継続的な関係性の構築も視野に入れた意義深いものとなっている。

イベント前日:被災地を自らの目で確認

6月27日、イベント開催に先立ち、選手たちは地元の3×3プロクラブ「ECHAKE-NA NOTO(エチャケーナ・ノト)」の池田智美選手らとともに、能登半島の被災地を視察。輪島市朝市通りの焼失跡地では、観光名所として知られた一帯が完全に更地となり、かつての賑わいの痕跡がまったく見えない現状に言葉を失ったという。

また、国の重要文化的景観でもある「白米千枚田」にも足を運び、崩落が激しいエリアと復旧が進んでいるエリアとのギャップを目の当たりに。さらに、最大で8〜9割の家屋が解体対象となった南志見地区を訪れ、地元のカフェや福祉施設を運営する経営者たちと直接対話する機会を得た。

「人のいない場所を元気にし、人が戻ってこられるようにすることが再生の第一歩」と語る地元の方々の姿勢に、選手たちは大きな刺激を受けたという。

イベント当日:子どもたちと心の交流

6月28日当日には、輪島市、珠洲市、志賀町、金沢市などから約50名の子どもたちが会場に集まった。午前中には選手たちによるトークショーが実施され、子どもたちからの様々な質問に笑顔で答える場面が続いた。

「ミスをしたときの切り替え方」や「フリースローのコツ」といった実践的な質問に加え、「バスケ人生で一番うれしかったプレーは?」という質問も飛び出した。

篠山は、2018年のワールドカップアジア地区予選・オーストラリア戦で、自身が決めた逆転レイアップシュートを挙げ、「あの瞬間は、一生忘れない」と語った。一方、橋本は「けん玉で複数の玉を一気に皿に載せた時!」と答え、会場を笑いで包み込んだ。

昼食交流:ゴーゴーカレーで心と体を満たす

昼食には、石川県のソウルフードとも言える「ゴーゴーカレー」が提供され、選手と子どもたちは同じ食卓を囲んで食事を楽しんだ。会場では子どもたちが描いた似顔絵が贈られたり、篠山のウォームアップストレッチを真似する姿が見られるなど、和やかな時間が流れた。

特にこの食事時間は、スポーツという枠を超えた人間同士の“ふれあい”を生む大切な時間であり、子どもたちにとっても「一緒に笑った思い出」が深く刻まれた時間となった。

バスケットボールクリニックで実技指導

午後は、音楽とバスケットボールを組み合わせたスポーツリズムトレーニングからスタート。ECHAKE-NA NOTOの池田インストラクターによる指導で、子どもたちはリズムに合わせて楽しく身体を動かしながらアップを行った。

その後、篠山、橋本、湊谷が中心となり、ドリブル、パス、シュートといった基本技術のレクチャーを実施。最後には、子どもたちのチームと選手チームによるエキシビションマッチが行われ、観客からは大きな歓声と笑顔があふれた。

3選手のコメント:継続こそが支援

イベントの最後には集合写真が撮影され、充実した一日を参加者全員で記録に残した。以下は、主催した3選手からのメッセージである。

篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)

「クラウドファンディングで応援してくださった皆さまのおかげで、能登に来ることができました。現地を自分の目で見ることの大切さを実感し、子どもたちの笑顔に出会えたことで、支援の必要性を再確認しました。この1回で終わらせず、継続的に能登と関わっていきたいです」

橋本竜馬(ベルテックス静岡)

「被災地の現状を実際に見て、未だ復旧していない地域の多さに驚きました。イベントを通じて“自分たちに何ができるか”を改めて考えるきっかけになり、今後も行動し続けたいと思っています」

湊谷安玲久司朱(元横浜BC)
「今回が88 Basketballとしての初めての復興支援でした。現地の現状を直接見て、本当の意味での“復興”とは何かを深く考える時間になりました。子どもたちの笑顔が見られて本当に嬉しかったし、今後もこういった活動を続けていきたいと強く思いました」

まとめ:スポーツが持つ力と、支援のこれから

「88 SMILE in Noto」は、被災地に物理的支援だけでなく、“心のケア”を届ける新しい形の支援として、多くの意義を持った取り組みだった。スポーツ選手が地域と直接向き合い、交流を通じて地域の“再起”を支える姿勢は、今後の災害支援モデルの一つとなり得るだろう。

バスケットボールがもたらす笑顔、熱狂、つながり――それはまさに、復興への原動力。88 Basketballの活動は、今後も日本各地でその価値を広げていくに違いない。