NBA史上最大規模の7チーム間トレードが正式成立、ケビン・デュラントはヒューストンへ
2025年7月7日(米現地6日)、NBAのフリーエージェント(FA)契約解禁に合わせて、かねてより合意報道があったケビン・デュラントを含む大型トレードが正式成立した。
このトレードには、サンズとロケッツを中心に、ホークス、ウォリアーズ、レイカーズ、ネッツ、ティンバーウルブズの計7チームが関与。NBA史上最多となる「7チーム間」の複雑なトレード劇となった。
ケビン・デュラント(35歳)は、このトレードによりフェニックス・サンズからヒューストン・ロケッツへ移籍。合わせて大型インサイドのクリント・カペラもヒューストンに加わり、新シーズンへ向けての“超攻撃型ラインナップ”構成が現実のものとなった。
7チーム間トレードの全容:各チームの獲得選手・指名権リスト
以下が今回のトレードで各チームが獲得した内容である。FA解禁直後のタイミングで一気に成立した史上最多規模のディールに、リーグ内外から大きな注目が集まっている。
●ロケッツ獲得(HOU)
- ケビン・デュラント(←サンズ)
- クリント・カペラ(←ホークス)
●サンズ獲得(PHX)
- ジェイレン・グリーン(←ロケッツ)
- ディロン・ブルックス(←ロケッツ)
- カマン・マルアチ(←ロケッツ/1巡目10位)
- ラシーア・フレミング(←ロケッツ/2巡目31位)
- コービー・ブレイア(←ウォリアーズ/2巡目41位)
- デイクウォン・プラウデン(←ホークス)
- 2026年・2032年ドラフト2巡目指名権(←ロケッツ)
●ホークス獲得(ATL)
- デイビッド・ロディー(←ロケッツ)
- 2031年ドラフト2巡目交換権(←ロケッツ)
- 金銭(←ロケッツ)
●ネッツ獲得(BKN)
- 2026年・2030年ドラフト2巡目指名権(←ロケッツ)
●ウォリアーズ獲得(GSW)
- アレックス・トゥーヒー(←サンズ/2巡目52位)
- ジャマイ・メイシャック(←ロケッツ/2巡目59位)
●レイカーズ獲得(LAL)
- アドゥ・シーロー(←ネッツ/2巡目36位)
●ティンバーウルブズ獲得(MIN)
- ロッコ・ジカースキー(←レイカーズ/2巡目45位)
- 2026年・2032年ドラフト2巡目指名権(←サンズ)
- 金銭(←レイカーズ)
ヒューストン・ロケッツ:デュラント加入で“即優勝狙い体制”へシフト
デュラントは昨季、サンズで平均23.2得点・6.5リバウンド・5.2アシストを記録。35歳ながら得点力・キャッチ&シュート・アイソレーションすべてでリーグトップクラスの水準を維持している。
ロケッツでは、フレッド・バンブリート、ジャバリ・スミスJr.、アルペレン・シェングンら若手との融合が期待される。
また、カペラの再加入によりペイント守備も強化され、ロケッツは一気にプレーオフ本命候補へと浮上。GMラファエル・ストーンは「この2人の獲得はチーム文化の転換点となる」と語っている。
フェニックス・サンズ:若返りと再構築に向けてシフト
一方でサンズは、デュラントとの「短命なビッグ3(ブッカー、ビール、デュラント)」時代に終止符を打ち、若返りと戦術多様性の再構築へシフトした。
新たに加わったジェイレン・グリーンはスコアラーとしての爆発力を持ち、ブルックスはディフェンシブリーダーとして機能。ドラフト指名権の積み増しにより、来季以降のトレード弾も確保した形だ。
オーナーのマット・イシュビアは「デュラントとの時間に感謝しつつ、新たな章を開くタイミングだ」とコメント。今後の“育成型サンズ”に注目が集まる。
なぜこの規模のトレードが可能だったのか?背景と展望
今回の超大型トレードが成立した背景には、以下のような要因が複合的に絡んでいる。
- FA契約解禁に伴う“ロスター再編”のタイミング
- 新CBA(労使協定)による高額年俸選手の整理
- デュラント側の移籍希望とサンズの財政調整
- 複数チームがドラフト指名権の入手を狙っていた
複雑なキャップ調整・サイン&トレードのバランスが必要だったため、当初2チーム間トレードとして報じられていた内容が、時間をかけて拡大されていったと見られている。
過去最大級のトレード比較:歴史的視点から見た“7チーム”の衝撃
NBAでは過去に4〜5チームが絡む大型トレードは複数存在しているが、「7チーム」は史上初。
代表的な過去事例:
– 2000年:4チームトレード(パット・ガリティ、グラント・ヒル)
– 2005年:5チーム13人が絡むトレード(アントワン・ウォーカーら)
– 2021年:ジェームズ・ハーデンの4チーム間移籍(BKN、HOU、CLE、IND)
今回のトレードは「人員数」ではなく「関与チーム数」で過去最大。現行のCBAルール下でこれだけ複雑な交渉が成立したことは、NBAフロント陣の調整能力の高さも示している。
まとめ:2025オフシーズン、最初の大爆発となった「7チーム衝撃」
ケビン・デュラントのヒューストン移籍は、ただのスター選手の移籍ではない。NBA史上初の7チーム間トレードという歴史的ディールにより、リーグの地図が大きく塗り替えられた。
この動きが他のチームの補強戦略にどのような影響を与えるかは、今後のFA契約、トレード市場、さらには来季の優勝争いに直結するだろう。
GL3x3では、今後もこの大型トレードの影響を継続的に追い、デュラントとロケッツ、そして再出発を図るサンズをはじめ、NBA全体の動向を深掘りしていく。