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越谷アルファーズが描くBリーグの未来図|B1昇格までの歩みと地域密着型クラブの挑戦

越谷アルファーズとは──埼玉初のプロバスケットボールチーム

越谷アルファーズ(Koshigaya Alphas)は、埼玉県越谷市を本拠地とするBリーグ所属のプロバスケットボールチームである。1997年に「大塚商会アルファーズ」として誕生し、2024-25シーズンよりB1リーグへの参入を果たした。

チーム名の「アルファーズ」は、親会社である大塚商会の製品名や企業ブランドに多く見られる「α(アルファ)」から着想を得たもの。Bリーグへの参入以降は、地域との連携や組織運営に力を注ぎながら、急速に成長を遂げている。

創設からB1昇格までの歩み──25年の歴史

創設当初は関東実業団リーグの6部からスタートしたアルファーズは、徐々に実力を蓄え、2004-05シーズンには日本リーグへ「特別推薦枠」として参戦。栃木ブレックスへ一時移籍した経験を持ちながらも、その後は地道に昇格を重ねていった。

JBL2、NBDLを経て2016年にB3.LEAGUEへ参入。2018年に運営が「フープインザフッド」に譲渡されたことで独立色が強まり、翌2019年にはB2昇格を果たす。そして2024年、ついにクラブ初のB1昇格を達成した。

昇格の原動力となった3つの要素

B1昇格の背景には、戦略的な補強、組織の再編、そして地元越谷市との強固なパートナーシップの3要素があった。

  • 戦略的補強:アイザック・バッツやジャスティン・ハーパー、井上宗一郎らB1経験豊富な選手を次々と獲得。
  • コーチング体制の整備:安齋竜三HC体制が2年目に突入。元宇都宮ブレックスHCであり、戦術構築に長けた名将の手腕が光った。
  • 地域連携と施設拡充:越谷市を中心に春日部市など複数自治体と連携し、ホームアリーナの安定確保や練習拠点「ALPHAS.HOUSE」の整備を進行。

B2ファイナルで準優勝、悲願のB1昇格へ

2023-24シーズンの越谷アルファーズは、B2東地区で45勝15敗の好成績を残し、2位でプレーオフに進出。クォーターファイナルでは熊本に2連勝し、セミファイナルでもA千葉を撃破。B2ファイナルでは滋賀に敗れたものの、成績によりB1昇格が確定した。

この快挙はクラブ史上初の快挙であり、埼玉県勢としても異例の成功例である。

運営会社と体制強化──株式会社アルファーズへの再編

2023年8月、運営法人は社名を「株式会社フープインザフッド」から「株式会社アルファーズ」へと変更。代表には上原和人が就任し、経営体制の刷新を図った。これにより、チーム運営と地域経済の結節点としての役割も明確化された。

クラブロゴ・カラーの刷新とブランディング戦略

B1参入にあたり、2024年7月からは新たなクラブロゴの使用も開始。従来のバーガンディーカラーをベースにしつつ、より明るいトーンへとリデザイン。サブカラーにはゴールドとブラックを据え、現代的な印象を強めている。

地域との連携──“まちづくり”への挑戦

アルファーズは単なるプロクラブとしてではなく、地域振興の担い手としても機能している。越谷市や春日部市と連携し、小中高生向けのアカデミー運営、3×3チーム「ALPHAS.EXE」の設立、チアチーム「アルファヴィーナス」など多面的に活動。

2024年4月には「B.プレミア」参入に向けた新アリーナ建設構想も発表され、越谷サンシティ再開発との連動も注目されている。

マスコット・アルファマンとファン文化

2019年に誕生したマスコットキャラクター「アルファマン」は、元SBAのスーパーPGという設定を持つユニークな存在。ホームゲームでは「アルファメイト」と呼ばれるファンとともに会場を盛り上げ、地域密着型クラブの象徴となっている。

初のB1シーズンと今後の展望

2024-25シーズンはB1における初年度。開幕戦から連敗が続いたが、10月19日の島根戦でB1初勝利を挙げた。その後も苦戦を強いられたが、勝利を重ねる中でファン層の拡大と経験値の蓄積が進んだ。

成績は19勝41敗で東地区6位となり、プレーオフ進出は逃したが、来季以降の基盤は整いつつある。

退団選手と新陣容への期待

シーズン終了後には、井上宗一郎、ソアレス、LJ・ピークら主力選手が退団。また、ベテランのジェフ・ギブスは現役引退を発表した。町田洋介ACの仙台移籍など、コーチ陣の交代も相次いでいる。

一方で、新加入選手の補強も続いており、2025-26シーズンの新体制には大きな期待がかかる。

まとめ:B.プレミア参入へ向けての次なる挑戦

越谷アルファーズは2026年のB.プレミア参入には至らなかったものの、クラブの方針として2029-30シーズンでの参入を明言している。そのための鍵は「財務基盤の拡充」「アリーナ建設の具体化」「競技力の安定」だ。

B1定着を目指すとともに、地域と共に進化し続けるクラブとして、これからの展開に注目が集まっている。