三河が発表した新シーズンのリーダー体制
B.LEAGUE B1のシーホース三河は、2025年9月4日に新シーズンのキャプテン人事を発表しました。今季は#13 須田侑太郎(33歳)、#19 西田優大(26歳)、#27 石井講祐(37歳)の3人が共同キャプテンを務めます。全員が東海大学バスケットボール部出身であることから、“東海大トリオ”の呼称で注目が集まっています。
クラブはリリースで「選手とスタッフ、そしてブースターの一体感を深めるための重要な布陣」と説明。昨季あと一歩で優勝争いに絡めなかった悔しさを糧に、勝負のシーズンへと歩みを進めます。
須田侑太郎:渡り歩いた経験を三河で結実させる
須田は宇都宮ブレックス(当時は栃木)、琉球ゴールデンキングス、アルバルク東京、名古屋ダイヤモンドドルフィンズと強豪を渡り歩き、2024-25シーズンに三河へ加入しました。日本代表経験を持つスコアラーで、クラッチタイムでの勝負強さと高精度のアウトサイドシュートが持ち味です。
2年連続でキャプテンを務めることになった彼は、「昨季の悔しさを忘れず、全員で壁を乗り越えたい。ファンと優勝を分かち合う」と強い決意を示しました。リーダーとしての存在感と実力の両面で、三河の精神的支柱となります。
西田優大:日本代表ガードが成長の中心に
26歳の西田は2021-22シーズンに三河入り。スピードを生かしたドライブ、正確なアウトサイドシュート、ディフェンスでの粘り強さを武器に日本代表でもプレーしています。
「3人体制のキャプテンとして、須田さんや石井さんと共にチームを良くしていきたい」とコメント。プレーと声で仲間を鼓舞する姿勢が評価され、リーダーシップの新たな段階へと挑戦します。ブースターからは「若き魂がチームを変える」との期待も寄せられています。
石井講祐:37歳、初のキャプテン挑戦
ベテランの石井は2023-24シーズンに三河へ加入。千葉ジェッツなどで培った実績と、安定感のある3Pシュートでチームに貢献してきました。
今回初めてキャプテンに就任し、「キャリア後半でこの役割を任されたことに感謝。三河のバスケを体現したい」とコメント。年齢に裏打ちされた冷静な判断力と、後輩を支える包容力で“兄貴分”としてチームをまとめます。
なぜ3人体制なのか?リーダーシップの分散という戦略
Bリーグでは近年、複数キャプテン制を導入するクラブが増加しています。理由は明確で、リーダーシップを1人に依存せず、多様な視点を組み合わせることでチームの結束力を高められるからです。
三河にとっても、世代の異なる3人を並べることは、若手育成とベテランの知見を両立する意味があります。須田の勝負強さ、西田の推進力、石井の安定感。それぞれの個性を融合させることで、チームはより柔軟かつ力強く戦えるでしょう。
チームロスターと戦力分析
2025-26シーズンの三河ロスターは、Bリーグでも屈指の充実度を誇ります。インサイドでは得点力抜群のダバンテ・ガードナー、国際経験豊富なシェーファーアヴィ幸樹、さらにNBA経験を持つジェイク・レイマン、アーロン・ホワイトらが揃います。
バックコートには元澤誠、長野誠史、平寿哉、久保田義章、西田公陽、角野亮伍といった国内選手が名を連ね、攻守のバランスは過去数年で最も整っていると評価されています。ライアン・リッチマンHCも就任3年目を迎え、戦術浸透度が高まり、チームの完成度は確実に上昇しています。
昨季の振り返りと課題
2024-25シーズンの三河は序盤から安定した戦いを見せたものの、終盤の得点力不足と接戦でのミスが響き、上位進出を逃しました。特にプレーオフ圏内を巡る競争では一歩及ばず、ブースターにとって悔しいシーズンとなりました。
この経験がキャプテン人事にも影響したと見られます。メンタル面での支柱を増やし、終盤の試合を勝ち切るチームへ変貌することが最大のテーマです。
Bリーグ全体で進むリーダーシップの多様化
アルバルク東京や宇都宮ブレックスなど、複数キャプテン制を導入するクラブは増えています。これはNBAやユーロリーグでも一般的なトレンドであり、日本のプロバスケ界も国際基準に歩調を合わせつつあります。
三河の“東海大トリオ”キャプテンは、リーグ全体の潮流と一致する取り組みであり、クラブが進化する象徴的な試みといえるでしょう。
ファンとメディアの反応
SNS上では「東海大トリオが揃うなんて胸熱」「リーダーシップの融合に期待」といった声が相次いでいます。地元メディアは「新時代の三河の幕開け」と報道。ファンの熱気は高まり、ホームアリーナには例年以上の盛り上がりが予想されます。
一方で、3人がどのように役割分担を行い、試合のプレッシャー下で意思統一できるかは大きな課題。特にプレーオフの舞台では、その真価が問われます。
地域への波及と3×3への影響
シーホース三河はトップチームの強化だけでなく、地域密着の活動にも力を入れています。学校訪問やバスケクリニックの開催に加え、3×3大会や地域イベントにも積極的に参加。地元の子どもたちに夢を与え、バスケ文化の普及に努めています。
今シーズンの成功はBリーグだけでなく、愛知県全体のバスケットボールシーンに波及し、3×3バスケの普及にも好影響をもたらすと考えられます。
まとめ:東海大トリオが導く未来
須田侑太郎、西田優大、石井講祐という3人のリーダーは、世代も役割も異なる存在です。しかし、その個性が融合することで、シーホース三河は新たな段階へと進化します。
ライアン・リッチマンHC体制3年目の2025-26シーズン。クラブが悲願の優勝を果たし、ファンと共に歓喜の瞬間を迎えることができるのか——東海大トリオの挑戦は、リーグ全体の注目を集めることになるでしょう。