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賞金100万ドル!話題沸騰「TST」とは?7人制サッカー大会の革新ルールとスター選手の競演

ゴールデンリーグ3×3は、「スポーツ × エンタメ」の融合を掲げる新感覚リーグです。
今回は、そのスタイルに通じる他の革新的なリーグもあわせてご紹介します。

注目度急上昇の7人制サッカー「The Soccer Tournament(TST)」とは?

「The Soccer Tournament(TST)」は、2023年にアメリカで新設された7人制サッカーの新たな大会フォーマットである。運営は「The Basketball Tournament(TBT)」を成功させたTBT Enterprises。2022年10月に構想が発表され、2023年6月に初開催。優勝賞金は破格の100万ドル(約1億5000万円)、”Winner-Take-All(勝者総取り)”という大胆なコンセプトが注目を集めた。

TSTの大会概要と主催者情報

  • 主催:TBT Enterprises(CEO:ジョン・ムガー)
  • 創設:2023年
  • 形式:男子48チーム、女子16チーム
  • 開催地:ノースカロライナ州ケアリー、WakeMed Soccer Park
  • 放送:NBC Sports(2023)、ESPN(2024〜)、Peacock、YouTube、Facebook Watch
  • 著名投資家:NBA選手クリス・ポールが出資

特徴的なルール:Elam Endingの導入とノースライディングなど

TST最大の特徴は、バスケ由来の「Elam Ending」をサッカー形式に導入している点。通常の20分ハーフ(計40分)終了後、リードチームの得点+1点が「ターゲットスコア」となり、先に到達したチームが勝利する。例えば、終了時点で3-1なら目標は4点。ゴールを決めた瞬間に試合が終了するため、PK戦などは存在せず、常に「最後の一発」で勝負が決まる。

さらに以下のような斬新なルールが設定されている:

  • ピッチサイズ:65×45ヤード(通常のサッカー場より小さい)
  • オフサイドルールなし
  • スライディングタックル禁止
  • キーパーのパント・ドロップキック禁止
  • スローインではなく間接FKで再開
  • ローリングサブ(交代無制限)

また、「ターゲットスコア時間」で決着がつかない場合は、数分ごとにフィールドプレイヤーが1人ずつ退場。最終的に2対2になるまで継続されるサドンデス方式が採られる。スピード感と決定力が問われ、観客にとっては緊張感の続く展開が魅力の一つだ。

元NBAスティーブ・ナッシュなどの豪華すぎる出場選手と異色チーム構成

TSTには世界中から元代表・元トップ選手・異業種の有名人が続々参戦。これまでに参加した著名人には:

  • アリ・クリーガー(元アメリカ女子代表)
  • セルヒオ・アグエロ(元アルゼンチン代表)
  • ナニ(元ポルトガル代表)
  • J.J.ワット(NFL伝説のディフェンスエンド)
  • パット・マカフィー(元NFLパンター、現スポーツキャスター)
  • チャド・“オチョシンコ”・ジョンソン(元NFL WR)
  • スティーブ・ナッシュ(NBA殿堂入り選手)

出場チームの多くは既存クラブのブランド名を用いているが、選手構成に過去の所属歴は必須ではない。例えば、2024年大会に出場した「Wrexham Red Dragons」には、元スコットランド代表ジョージ・ボイドなど、クラブと無関係な選手も含まれていた。この自由なチーム構成がTSTの幅を広げている。

代表的な大会結果:毎年白熱の決勝戦

開催年 男子優勝 女子優勝 備考
2023年 Newtown Pride FC 混合開催 初開催
2024年 La Bombonera US Women 初の男女別開催
2025年 Bumpy Pitch F.C. US Women(2連覇) 最多優勝記録

女子大会の分離開催と成功

初年度は男女混合での実施だったが、2024年からは女子トーナメントが独立。全16チームによる短期集中型大会として実施され、初代女王には「US Women」が君臨。2025年大会でも無敗で2連覇を果たし、すでに女子TST界の“絶対女王”的存在となっている。

商業面での拡大戦略とファン層の広がり

TSTは初年度からESPNとの中継契約を獲得し、PeacockやYouTubeでの同時配信により、ミレニアル世代やGen-Z層のデジタル視聴者にもリーチを拡大。また、パートナー企業との協賛により会場内でのエンタメ要素も強化されており、DJブース、選手インタビュー、即席サイン会など「試合外の体験価値」も重視されている。

3×3バスケとの比較:新興スポーツの共通点と違い

TSTと3×3バスケットボールにはいくつかの共通点がある:

  • 短時間・高回転の試合構成
  • 会場演出に音楽やライトショーを導入
  • 個人スキルと瞬発力が勝敗を大きく左右する
  • ルールの簡素化による観客の理解しやすさ

一方で、TSTは「サッカーの新形態」としての認知を強化するために、ファン参加型のイベントや、スポーツの枠を超えた有名人参加といった“話題性”戦略をより重視している点が特徴的だ。

今後の展望と日本との関わり

現在のところ、TSTに日本チームの参戦実績はないものの、JリーグOBやフットサル界のレジェンドが出場する可能性も噂されている。特に、元代表の中田英寿や稲本潤一、または女子の澤穂希・永里優季などがゲスト出場すれば、大きな話題となるだろう。

また、将来的にアジアラウンドの開催や、日本独自の予選大会が開催される可能性もあり、国内の企業やクラブがTSTとの提携に名乗りを上げる動きも予想される。

まとめ:TSTは“7人制サッカーのNBA”になるか?

The Soccer Tournamentは、従来のサッカーの常識を覆す新時代のスポーツイベントとして注目を集めている。スピード感ある展開とルール、誰が出場しても勝てる可能性があるオープンな構造は、3×3バスケットボールやeスポーツ的な魅力に通じる部分もある。

今後、日本人選手やJリーグOB、女子代表OBらがTST参戦する日も遠くない。サッカーファンだけでなく、全てのスポーツファンにとって見逃せない存在となっていくだろう。