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フィル・ハンディがマブスのコーチに就任!八村塁を育てた名指導者が注目の若手フラッグと新章へ

NBA随一の育成コーチ、フィル・ハンディがマーベリックスへ


2025年7月10日(日本時間)、NBAで屈指のスキル開発コーチとして知られるフィル・ハンディが、ダラス・マーベリックスのコーチングスタッフに加わることが明らかになった。マーク・スタイン記者が報じたこのニュースは、選手育成に重きを置くマブスにとって極めて重要な動きとして注目を集めている。

ハンディはNBAにおける「選手の個の力」を引き出す達人として知られ、これまでにも多くのスター選手と密に関わってきた。レイカーズ、キャバリアーズ、ラプターズといったチームを渡り歩き、いずれのチームでも選手の成長とチームの成功に貢献してきた彼のキャリアは、まさに「勝利の遺伝子」と呼ぶにふさわしい。

NBAでの豊富なコーチ歴と優勝経験

現在53歳のフィル・ハンディは、1990年代から2000年代初頭にかけてプロ選手として活躍した後、2011年にロサンゼルス・レイカーズでコーチングのキャリアをスタート。その後、クリーブランド・キャバリアーズ、トロント・ラプターズといった強豪チームでアシスタントコーチとして経験を重ねていく。

特筆すべきは、NBAファイナルに計6度進出し、レイカーズ(2020年)、キャバリアーズ(2016年)、ラプターズ(2019年)の3チームで優勝に貢献した点である。いずれも異なるチーム文化、選手構成で結果を出してきたハンディの指導力は、勝負所での駆け引きだけでなく、若手育成やチームビルディングにも定評がある。

コービー、レブロン、カイリー…スターたちの背後にハンディあり

彼の手腕は単なる戦術家としてだけでなく、「個」のスキル強化に特化している点にある。これまでにコービー・ブライアント、レブロン・ジェームズ、カイリー・アービングなど、超一流選手たちが彼の指導を受けてきた。

特に「マンツーマンでじっくり向き合い、足りない部分を一つずつ修正するスタイル」が特徴で、選手の信頼も厚い。ワークアウトの動画などがSNSで話題になることもしばしばで、彼の緻密なドリルや熱のこもった指導は、多くのファンにも知られている。

八村塁の飛躍を支えた“縁の下の力持ち”

日本人ファンにとって特筆すべきは、男子日本代表・八村塁選手との関係だ。2023年にワシントン・ウィザーズからレイカーズへトレードされた八村が、シーズン後半から爆発的な活躍を見せた背景には、ハンディの存在があった。

特にジャンプショットの安定感やフットワークの精度向上に関しては、ハンディの影響が大きいとされており、八村本人もインタビューでその感謝を口にしている。NBAのトップアスリートと渡り合うための土台を整えたのは、間違いなく彼のような職人的コーチの存在だった。

「BLACK SAMURAI 2025 THE CAMP」にも参加

2025年8月、八村塁が主催するジュニア世代向けバスケットボールキャンプ「BLACK SAMURAI 2025 THE CAMP」が愛知県・IGアリーナで開催される。そのメインコーチとして招聘されるのが、まさにこのハンディである。

対象は中学1年生から高校3年生までの男女約150名。3日間にわたり、世界基準のドリルや技術指導が提供される予定で、育成年代において「NBA直伝」のメソッドに触れられるまたとない機会となる。

こうした草の根活動にも積極的な姿勢を見せるハンディは、単なるプロのコーチではなく、「次世代にバスケットボールの本質を伝える伝道師」としての側面も持ち合わせている。

マブス加入の背景と注目選手クーパー・フラッグ


今回ハンディが加わることとなったダラス・マーベリックスは、2025年NBAドラフトで全体1位指名を獲得し、期待の超大型新人クーパー・フラッグを迎え入れたばかり。ルカ・ドンチッチとカイリー・アービングというスーパースターに加え、新時代の象徴となるルーキーの加入でチームの注目度は急上昇中だ。

そこでカギを握るのが「個の育成」であり、ハンディの加入はまさにその布石といえる。爆発的な身体能力とスキルポテンシャルを持つフラッグをどう育て上げるのか──。過去に数々のスターを成長させてきたハンディの手腕に、再び大きな期待が寄せられている。

コーチ刷新の波とともに始まる新章

2023-24シーズンの終了後、ロサンゼルス・レイカーズはコーチ陣を一新し、ハンディもチームを離れることとなった。新天地として選ばれたマーベリックスでは、今後数年を見据えた長期的な育成・改革が求められる。

チームのフロントは「ハンディの加入で若手育成とベテランのケア、両面でバランスの取れた体制になる」と語っており、チャンピオンシップ獲得に向けた本格的な準備が始まったともいえる。

まとめ:選手とともに歩み続ける“NBAの裏MVP”


フィル・ハンディは、選手でもなく、HC(ヘッドコーチ)でもない──しかし彼の存在は、間違いなく“勝利”を支える中核だ。育成、ケミストリー構築、精神的サポート、戦術理解といった要素を一手に担い、縁の下からチームに影響を与えてきた。

今回のマーベリックス加入は、新たな挑戦であると同時に、「NBAの未来を育てる」という使命の延長でもある。ルーキー・フラッグ、ドンチッチ、そしてチーム全体が、彼の知見と情熱から何を得るのか──その過程から目が離せない。

世界に誇る指導者フィル・ハンディの「第4の優勝物語」が、テキサスの地で幕を開ける。