オクラホマシティ・サンダーが悲願のNBA制覇、歴史に残る初優勝を達成
2025年6月23日(現地時間22日)、ついに「NBAファイナル2025」の頂上決戦が幕を閉じた。第7戦までもつれ込んだ激闘の末、オクラホマシティ・サンダーがインディアナ・ペイサーズを破り、フランチャイズ移転後初となるNBAチャンピオンの座に輝いた。
サンダーにとってこの優勝は、旧シアトル・スーパーソニックス時代を含めても実に長い歴史の中で、移転後初の栄光。今季レギュラーシーズンではリーグトップの勝率を誇り、プレーオフでも安定した戦いぶりで頂点にたどり着いた。
ペイサーズも奮闘、下剋上でファイナルへ
敗れたインディアナ・ペイサーズも、東カンファレンス第4シードから快進撃を見せたチームのひとつだった。カンファレンスセミファイナルではクリーブランド・キャバリアーズ、カンファレンスファイナルではニューヨーク・ニックスという強豪を撃破。特にニックス戦での劇的な勝利は多くのファンの心を打ち、ファイナルでも最終第7戦まで持ち込む粘りを見せた。
インサイド、アウトサイドともにバランスの取れたチーム構成で、今季の快進撃は一過性ではない実力の証明となった。
第7戦で起きた悲劇…ハリバートンがアキレス腱断裂
インディアナの司令塔であり、今季大ブレイクを果たしたタイリース・ハリバートンに悲劇が訪れたのは、第7戦の序盤だった。第6戦で右ふくらはぎを負傷しながらも先発出場したハリバートンは、第1クォーターに3本の3ポイントを沈めるなど気迫のプレーを見せていた。
しかし、第1Q残り5分でプレー中に転倒し、後にアキレス腱断裂と診断される大怪我を負ってしまう。試合後にクラブが発表した内容によれば、回復には長期を要し、来シーズンの大半を欠場する可能性が高いとされている。
続くアキレス腱の負傷、スター選手に何が起きているのか
今回のポストシーズンでアキレス腱を断裂したのは、ハリバートンだけではない。デイミアン・リラード(ミルウォーキー・バックス)は1回戦で、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)は準決勝で、それぞれルーズボールを追う中でアキレス腱を負傷。いずれもシーズンを終える致命的な怪我となった。
この3選手に共通するのは、いずれも東カンファレンス所属であること、そして背番号が「0」であること。さらに、所属チームが直近1年間で何らかのトロフィーを手にしていたという点も興味深い。
- ハリバートン:ペイサーズでカンファレンス制覇
- リラード:NBAカップ2024(レギュラーシーズン中大会)優勝
- テイタム:NBAファイナル2024 優勝(セルティックス)
SNSで話題に「背番号0の呪い」
アメリカのバスケットボールメディア『ClutchPoints』は、これらの共通点に注目。「背番号0を背負うスター選手にアキレス腱断裂が集中している」との投稿がSNSで拡散され、“ゼロのジンクス”として話題を呼んでいる。特に、3選手すべてが今季注目のプレーヤーであったこともあり、ファンの間では偶然では済まされないとの声も出ている。
なお、今回優勝したオクラホマシティ・サンダーには背番号「0」をつける選手はいなかったことから、少なくともこのジンクスが続くことはなさそうだ。
82試合+ポストシーズンの過密スケジュールが引き金か
NBAは通常のレギュラーシーズンだけでも82試合という長丁場。それに加えて、ポストシーズン、そして昨今では「インシーズン・トーナメント(NBAカップ)」といった新大会も導入され、選手の身体的負荷は年々増している。
特にオールスター級の選手においては、出場時間も長く、シーズン中の稼働率は非常に高い。プレーイン・トーナメントを含めた過密日程は、確実に選手の怪我リスクを増大させており、今回のアキレス腱断裂続出はリーグ運営にとっても見過ごせない事象となっている。
NBAの今後に問われる「選手保護とリーグ興行」の両立
今シーズンのファイナルは歴史的な試合として語り継がれる一方で、スター選手の負傷が象徴する「過密日程の代償」という暗い影も残した。NBAとしては、ファン獲得や視聴率のための大会拡張・興行面強化と、選手の安全や健康維持をいかに両立させていくかが今後の大きなテーマとなりそうだ。
アキレス腱断裂という重傷から復帰するのは簡単ではない。しかし、ハリバートン、リラード、テイタムの3人が再びコートに戻り、輝きを放つその日まで、リーグとファンの双方が選手たちの健闘と回復を支えていく必要がある。