U19女子日本代表、スペインの壁に阻まれる──W杯グループフェーズ第2戦で痛恨の初黒星
2025年7月14日、FIBA U19女子バスケットボールワールドカップ2025のグループフェーズ第2戦が開催され、日本代表(世界ランキング6位)はスペイン代表(同2位)と対戦。結果は54−69と15点差で敗れ、今大会初の黒星を喫した。
前半からスペインのテンポの早い攻撃展開に対応しきれず、日本は主導権を握られる苦しい展開。3ポイントシュートの成功率はわずか12.1%と精度を欠き、リバウンドやセカンドチャンスの得点でも後れを取る形となった。試合を通して追いかける展開が続き、第3クォーターに一時逆転する場面もあったが、最終的には再び突き放されて試合終了を迎えた。
19得点でチームを引っ張った後藤音羽──孤軍奮闘のエースの覚悟
この日、最も気を吐いたのは後藤音羽。身長170cmのコンボガードとして、攻撃の中心となった彼女は19得点7リバウンドと数字以上に存在感を示した。ドライブやジャンパーを巧みに使い分け、スペインの高い壁に立ち向かった姿は、まさに「エース」と呼ぶにふさわしい。
スペインのタイトなマークに苦しみながらも、後藤は第3クォーターの反撃の起点となる得点を重ね、チームの士気を引き上げた。3ポイントが入らない状況の中で、ペネトレイトでの得点を重ねた彼女のパフォーマンスは、指導陣やメディアからも高く評価されている。
堀内桜花、鈴木花音らも奮闘──だが届かなかったあと一歩
司令塔・堀内桜花は冷静なゲームメイクでチームをまとめ、7得点6リバウンドを記録。ディフェンス面でも身体を張ってリバウンド争いに絡み、リーダーシップを発揮した。一方、シューティングガードの鈴木花音も12得点4リバウンドと躍動。ペリメーターからの得点やファストブレイク時の決定力で存在感を示した。
しかし、チーム全体としては3ポイントシュートが計24本中わずか3本成功と大きく精度を欠き、オフェンスの幅を狭めてしまった点が悔やまれる。
スペインの強さ際立つ展開力とフィジカル──日本の課題が浮き彫りに
スペイン代表は、U19世代でも高い完成度を誇るチームとして知られ、今大会の優勝候補にも挙げられている。ガード陣の巧みなボール運びと、サイズを活かしたインサイドプレーが持ち味で、日本は終始押し込まれる場面が目立った。
また、スペインはセカンドチャンスポイントで日本を圧倒。リバウンド総数ではスペインが44本、日本が34本と差をつけられ、ポゼッション数にも影響が出た。さらに、ファウル管理においても日本は後半にファウルトラブルに陥り、ディフェンスの強度を保ちきれなかった点も、結果に直結した。
試合の流れを振り返る──日本は第3Qに勝機を見出すも…
第1Qは11−20とスタートダッシュに失敗。スペインの速い展開とインサイドの強さに押され、なかなか自分たちのリズムを作れなかった。
第2Qは後藤や鈴木の個人技で得点を重ね17−19と食い下がったものの、前半を終えて28−39と依然11点差のビハインド。
しかし第3Q、ディフェンスでの粘りを見せ、スペインのシュートミスを誘発。堀内のスティールからの速攻、後藤の連続得点などで一時逆転し、17−15とリードを奪って最終Qを迎える。
だが、第4Qではスペインの修正力が上回った。日本は再びオフェンスが停滞し、9得点にとどまり、終盤に差を広げられてしまった。
次戦はアルゼンチン戦──トーナメント進出へ負けられない一戦
現在、日本は1勝1敗でグループDの2位につけている。次戦は7月16日、ランキング31位のアルゼンチン代表と対戦。アルゼンチンはここまで2連敗と苦しんでいるが、激しい守備とリバウンド争いには定評があり、油断はできない。
この一戦に勝利すれば、グループ2位通過が確定し、決勝トーナメント進出が大きく近づく。後藤や堀内といった主力に加え、ベンチメンバーの奮起も求められる重要な試合だ。
歴史と未来──U19代表が担う日本女子バスケの希望
U19女子代表は、FIBA主催のワールドカップにおいて2017年大会で準優勝という輝かしい実績を持つ。そのときの主力だった町田瑠唯や赤穂ひまわりは、現在シニア代表でも活躍中であり、U19は日本バスケ界の「登竜門」として機能している。
今回の世代も、後藤や堀内を中心に、3×3の次世代代表候補としても名前が挙がっており、彼女たちの活躍が将来の五輪や世界選手権に繋がる可能性は高い。
ファンやメディアも注目──SNSでは後藤への賛辞が相次ぐ
試合後、SNSでは「後藤音羽の勝負強さは本物」「堀内の落ち着いたプレーに将来性を感じる」といったコメントが相次ぎ、ファンの間で若き代表選手たちへの期待は日増しに高まっている。
特に後藤に関しては、現地スカウトからも注目されており、海外リーグでのプレーも視野に入ってきていると報道されている。
まとめ|スペイン戦で得た経験を次戦に生かせるか
今回のスペイン戦は、U19日本代表にとって多くの課題を洗い出す機会となった。特に3ポイントシュートの精度、リバウンド、フィジカルコンタクトへの対応といった点は、今後の強化テーマとして挙げられるだろう。
だが同時に、後藤をはじめとした選手たちのポテンシャルや、粘り強いディフェンス、試合の流れを変える力も随所に見られた。
グループ最終戦であるアルゼンチン戦を乗り越え、トーナメントでの躍進を期待したい。日本バスケの未来は、彼女たちの手に託されている。
【試合結果】
日本代表 54−69 スペイン代表
JPN|11|17|17| 9|=54
ESP|20|19|15|15|=69