中国との強化試合での敗戦から得た手応え
2025年6月28日、「FIBA女子アジアカップ2025」に向けた第4次強化合宿中の女子日本代表(FIBAランキング9位)のメディア対応が行われ、注目の若手・田中こころ(ENEOSサンフラワーズ)が登壇。6月上旬に開催された強化試合での手応えや今後の意気込みを語った。
田中は「三井不動産カップ2025(愛知大会)」でA代表初招集ながらスタメンポイントガードとしてチームをけん引し、大会MVPを獲得。続く中国遠征では2連敗を喫したが、「課題は多かったけど、スピードやシュート力は出せた」と成長への自信を見せた。
“高さ”だけではない現在の中国代表に驚き
田中はU18日本代表時代にも中国と対戦経験があり、「当時は長身選手にボールを入れて得点するだけだった」と語る。しかし今回の中国代表は「ガードも技術が高く、個々のスキルもまったく違う」と印象を新たにした。
それでも、日本代表らしく「速いバスケット」を展開すべく、ポイントガードとしての自覚を強調。「ボールプッシュを意識して、攻撃の起点として責任を持ちたい」と意気込んだ。
「アジアNo.1ガード」への期待と進化する意識
高校時代はシューティングガードとして活躍した田中。しかし、現ヘッドコーチのコーリー・ゲインズ氏からは「アジアで一番のガードになれる」と高く評価されており、田中自身も「その期待に応えたい」と強い決意を表明。
当初は新ポジションへの不安もあったが、「何でもしていいポジションだとコーリーに教わってからは、考え方が変わった」と語り、今では攻守に渡る司令塔としての自覚が芽生えている。
完全アウェーも歓迎「シーンとなるのが好き」
田中は観衆1万人超の有明アリーナでも「緊張は少しあるけど、思いきってやるだけ」と語る。中国遠征では観客全員が相手チームを応援する完全アウェーの雰囲気だったが、「逆に好き」とメンタルの強さを見せた。
「誰も私を見ていない感じがする中で、活躍するとベンチ側が黙って、シーンとなるのがすごい好き。アウェーが急にお葬式みたいになるのがいい」と独特の表現で強心臓ぶりをのぞかせた。
アジアカップは通過点、さらなる進化へ
田中は「アジアカップは通過点」と語りつつ、今大会でも全力でアピールする意向を示した。「シュート力はもちろん、パスやアグレッシブなディフェンスなど、新しい一面も見せたい」と語り、ポイントガードとしての新たな引き出しを増やしつつある。
まとめ|“新時代の司令塔”として世界へ
中国戦での敗戦にも前向きに向き合い、自らの成長と責任を実感している田中こころ。速い展開と強気な姿勢を武器に、アジアの頂点を目指すチームをけん引していく姿に、今後ますます注目が集まるだろう。
大胆かつ繊細なプレースタイルに加え、観客を黙らせるほどのメンタル。田中こころは、“次世代の司令塔”として、FIBA女子アジアカップの舞台で一躍ヒロインとなる可能性を秘めている。